IOC上級委員も「中止の公算が高い」と発言。スペイン語圏でも東京五輪開催を不安視する報道が

ほぼ完成しつつある晴海のオリンピック選手村

ほぼ完成しつつある晴海のオリンピック選手村

IOC上級委員が「完全に中止する公算が高い」と発言

 東京五輪の開催が危ぶれている。IOCのバッハ会長を始め関係者の誰もが開催できなくなるという不安を内心持ちながらも、開催できるという希望的観測による発言に留まっている。  その中で、より踏み込んだ発言をしたのはIOCのディック・パウンド上級委員だ。彼は「新型コロナウイルスが原因で東京オリンピックの開催がかなり危険ということになれば、組織委員会はそれを延期するのではなく、完全に中止する公算がより高い」と述べ、その最終の決定は5月までにくだされるという見解を表明した。(参照;「Forbes」、「El Periodico」)  この発言をしたことについて、同委員会の中でもバウンド上級委員への批判はあるようだが、もっともな指摘だと筆者には思える。少なくとも、7月に開催となれば、それぞれ参加国での決定に必要な期間を考慮すると5月までに判断するのがボーダーラインなのは間違いないだろう。

残り4ヶ月で終息に向かうことはできるのか?

 この祭典には207か国、1万1000人の選手が参加し、33種目、339の競技が実施され、2万5000人の報道陣が集まる。観客数も加えると毎日100万人の動きが開催場を起点に観察されるようになるはずだ。また警備では前回のリオデジャネイロの大会では8万人の警官と民間警備員が動員された。また1週間後には、パラリンピックも控えている。(参照:「El Periodico」)  現在、中国を含め70か国余りの地域でCOVID-19の感染が確認されている。感染者の数は、3月5日現在で9万5000人超、死者3000人超という状態にある。今後、感染者が減る可能性はなく、逆に増加する可能性がより高い。しかも、このウイルスの感染から発病まで14日とされているが、24-27日の場合も確認されている。即ち、ひと月このウイルスを体内に潜伏させている人もいるかもしれないということだ。  オリンピック開催地を起点に毎日100万人の人の出入りがあり、このウイルスの感染危険度そしてこれからまだ感染が拡大する傾向にあることを考慮すると、3月、4月、5月、6月の4カ月弱の間にCOVID-19が鎮まる可能性はゼロである。それを承知で各国がオリンピック選手を日本に派遣しようとする意向はないであろう。  しかも、仮に開催中に選手か観客の誰かが感染していることが発覚すれば宿泊している所を隔離する必要に迫られる。それがホテルであれば宿泊客全員がホテルから外出できなくなるのである。そのような危険性があること承知でJOCが開催に踏み切るとは思えない。
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鍵を握る中国と米国
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