タイのサッカー賭博で大穴が出ると飲酒運転検問が厳しくなる!? その理由がすごかった
以前の記事を参照にしていただくとして、この犯人は見栄っ張りで派手な生活をしていたための借金苦が動機だったとされる。また、サッカー賭博にも夢中で、その借金もあったと言われた。
サッカー賭博は日本にはないものなので、一般的な日本人には馴染みがないだろう。日本では「toto」や「BIG」といったサッカーくじがあるが、賭け方がまったく違うし、タイはこのサッカー賭博の浸透具合が日本の比ではない。タイのパブレストランやバーなどではテレビでサッカー中継が映し出され、タイ人男性が熱狂的に応援している風景が見られる。これは多くが賭博に夢中で、純粋にスポーツ観戦している人が少ないほどだ。
ただ、意外に思うかもしれないが、タイは原則としてギャンブルが禁止されている。タイ女性を中心にトランプを使ったギャンブルが好まれるが、それを阻止するためか、コンビニなどあらゆる場所でトランプが表向きには売られていないほど。刑法では賭博をした者などは3ヶ月~3年の懲役および500~5000バーツの罰金としている。
一方で、認可されているギャンブルもある。日本と同じように競馬、「ロッタリー」と呼ばれる宝くじがある。宝くじは1等600万バーツ(約2100万円)と日本ほど大きい額ではないが、月に2回、当選日が来る。組数は開催ごとに違うが数十あるものの、当選に組番は関係ないため、当たる確率も高い。
また、タイの国技であるムエタイも同じだ。ムエタイは素手で闘う古代ムエタイを含めると450年以上の歴史がある。しかし、現代ムエタイは1921年に第1次世界大戦の参戦費用を捻出するために賭博対象として始まった。いまも、大会運営者が警察や自治体に許可を得れば賭博として行うことが可能だ。ムエタイはタイの国技ではあるものの、このように賭博対象になっている。タイ政府は競馬、ムエタイ、闘鶏、そして闘魚に関して、認可された会場内であれば賭け事をしてもいいと法で定めている。これらの会場でギャンブルをする分にはまったく問題はないことになる。
ただ、タイ政府や警察はギャンブルを悪としながらも、これらが社会的弱者の受け皿にもなっている一面もある。「ロッタリー」は、売り子が政府の販売所で買い取り、自分のテリトリーで多少の利益を乗せて転売する、というのが販売方式になっている。身体に障害があるなど、一般企業で働けない人でも稼ぐチャンスとなっている。ムエタイ選手も貧困層の少年たちがなる。学歴社会のタイにおいて、勝てば数千バーツのファイトマネーが入り、チャンピオンになれば大金持ちにもなれるチャンスがある。貧困層が人生を盛り返すこともできるのだ。
そんなタイにあるギャンブルのうち、今一番熱いものが、冒頭で紹介したサッカー賭博なのである。 実はこのサッカー賭博、東南アジア全域で人気が高く、ベトナムではサッカー賭博に全財産を注ぎ込み、大勝ちするものがいる一方で、首をくくる必要が出てくる者もいるという。
タイではそこまで危ない賭け方をする人はあまり聞かなくなったが、その熱は冷めていない。どれほど浸透しているのかというと、オッズ(倍率)が一般のスポーツ紙に掲載されているほどだ。日本ならコンビニや駅のスタンドで手に入るような大手の一般スポーツ紙である。
しかも、タイのスポーツ紙はギャンブルが前提の記事になるため、日本人のコアなサッカーファンでさえ知らないような無名選手の故障状況まで事細かに報道されているという。徹底的に研究して金を賭ける環境が用意されているのだ。
ただ、タイの国内リーグは対象になっておらず、基本的には欧州リーグの試合が対象になる。主にプレミアリーグ(英国)、スペイン・リーグ、ブンデスリーガ(ドイツ)だ。そのため、シーズン週末のパブでは欧州リーグを見ながらビールを飲み、試合に一喜一憂する。特にタイ人サッカーファンは8割がマンチェスター・ユナイテッドのファンだという。これもただ純粋に応援しているというよりは、ギャンブルの対象としてのファンであるのだ。
今年1月、金の地金やアクセサリーを販売する金行が武装した強盗に襲われ、流れ弾に当たった2歳児を含む複数の死傷者が出る事件がタイであった。この事件の詳細はタイの「賭博」事情
愛好家が多いサッカー賭博
1
2
ハッシュタグ