コロナウイルス、中国は症状のない患者をカウントしていない。科学者でも分かれる賛否

新型コロナウイルスイメージ

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 先日、クルーズ船「ダイヤモンド・プリンセス」から下船し帰国した米国人のうち、11人は新型コロナウイルス陽性と判定されました。これらの人は、米国では新型コロナウイルスの感染者としてカウントされますが、中国ではカウントされません。一体どういうことでしょう?

中国では陽性でも症状がないとカウントされない

 2020年2月20日の科学雑誌「ネイチャー」に、「科学者らは、中国の症状のない新型コロナウイルスの症例は報告しない、という決定に疑問を呈している」というニュースが報告されました。このニュースの内容は以下のようになります。  2020年2月初め、中国東北部の黒竜江省当局は、「検査でウイルス陽性を示したが症状がなかった13人は、この地域の新型コロナウイルスに感染と確認された症例リストから削除された」と発表しました。当局は、「中国国家衛生健康委員会のガイドラインに沿っており、感染が『確認された症例』ではなく『陽性の症例』として分類されるべき」と述べます。委員会の公式日報には、「確認された症例」のみが記載されています。  現在、中国の公式報告書によると、新型コロナウイルスの感染者数に、検査でウイルス陽性であっても症状のない人は含まれていません。それらの人は、14日間隔離され、保健当局によって監視されます。その期間に症状が現れた場合、新型コロナウイルスの感染確定症例として分類されます。  ガイドラインの実施を支援する、北京の中国疾病管理予防センターのウー・ズニョウ局長は、「検査で陽性であっても、必ずしもウイルスに感染していることを意味しません。臨床検査では通常、咽頭や鼻腔のぬぐい液でウイルスの遺伝子を検出しますが、一部の人ではウイルスが細胞に侵入せず、複製を開始しない可能性があります」と言います。

専門家の意見は賛否に分かれる

 この報告書に対して、「感染症の真の規模が隠されてしまう」と懸念する研究者と、「中国は、感染を広めている病気の患者の追跡を優先する権利がある」と主張する専門家に意見が分かれます。  例えば、世界保健機関(WHO)の代表タリック・ジャシャレヴィッチ氏は、「公衆衛生の観点から、中国で症状がある患者の数を記録することに焦点を当てることは理にかなっています」と述べ、中国を擁護しました。  一方、米ニューヨークのコロンビア大学のウイルス学者であるアンジェラ・ラスムッセン博士は、「ウイルスは通常、宿主(人間)内で複製して検出可能なレベルに達します。宿主の細胞に感染していない場合、ウイルスが鼻腔内にいても、鼻腔ぬぐい液にウイルスが検出されることは疑わしい」と言います。  鼻腔ぬぐい液にウイルスが検出されるのであれば、宿主の細胞に感染している可能性が高いという指摘です。要するに、中国疾病管理予防センターのウー・ズニョウ局長の見解は間違っているのではないかと示唆しているのです。  豪ブリスベンのクイーンズランド大学のウイルス学者イアン・マッカイ博士は、「公式のカウントからこれらの症例を除外すると、ウイルスが実際よりも深刻であるという印象を与えます。ウイルス感染の流行に対して準備している他国が誤解する可能性があります」、と言います。  例えば、2月20日のWHOの報告では、中国では感染確定例は7万4675人で死亡者は2121人、つまり致死率は2.8%となりますが、「陽性の症例」を「確認された症例」に含めると、患者数が増えるので、致死率は減ります。  米ボストンのハーバード公衆衛生大学院の感染症免疫学者マイケル・ミーナ博士は、「症状のない症例を数えないと、ウイルスをモデル化してその程度や広がりを理解する試みが妨げられます」「中国は、流行の動態を測定するのではなく、病気のケアを優先し、検疫を維持しているのでしょう。臨床的な観点からすると、症状のない症例を感染者数から除外することは正当化されます。なぜなら、もし症状がなければ治療の必要ないからです」と言います。  ミーナ博士らは、これまで報告された7万4000例よりも、実際はるかに多くの人が感染しており、ほとんどの症例はおそらく無症候で、検査すれば陽性になると推測します。  さらに、米メディアCNNは、中国で、ウイルス感染者のカウント方法が3回変更されたことを指摘します。
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感染者のカウント方法を矢継ぎ早に変更
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