コロナウイルス、中国は症状のない患者をカウントしていない。科学者でも分かれる賛否
感染者のカウント方法を矢継ぎ早に変更
すると、2月14日に、中国政府はガイドラインを変更し、「臨床的に診断された」症例は、カウントから除外しました。これにより、感染者数は再び2000~3000人前後にまで落ち着きました。さらに現在、前述の「ネイチャー」で示すように、ウイルスが陽性で症状のある人のみが新型コロナウイルスの感染者として数えられます。
なぜ中国は感染者数の数え方を3回も変更したのでしょう?CNNによると、中国当局は、新規コロナウイルスの検査の向上と述べているといいます。中国医師会感染症協会の王桂強所長は、「診断と治療の不一致を解決するために、このような臨床診断が導入され、患者のタイムリーな治療が可能になり、死亡率が低下しました。しかし今、湖北省の状況が変わった。核酸検査が大幅に改善され、疑わしいすべての症例または未確認の症例を迅速に検査できます」と主張します。
それに対して、ハーバード公衆衛生大学院のエリック・フェイグル・ディン博士は、「1週間に2回も変更することは、非常に珍しい。症例は本当に減少したのでしょうか、それとも過去数日間症例を報告していなかったからでしょうか?本当の傾向を知ることが困難になり、解明が複雑になります」と批判します。そして博士は、検査結果が陽性であるが症状を示さなかった患者を数えないという中国の決定に眉をひそめ、「非常にイライラします」と言います。
パンデミック(世界的流行)に備える必要
内科医師、米国ボストン在住、医学博士。東京女子医科大学卒業後、同血液内科入局。国立がんセンター、東京大学医学部付属病院血液・腫瘍内科にて造血幹細胞移植の臨床研究に従事。2007年4月より、ボストンのダナ・ファーバー癌研究所に留学し、ライフスタイルや食生活と病気の発生を疫学的に研究。08年4月から13年12月末まで、ハーバード大学で、肥満や老化などに関する研究に従事。ハーバード大学学部長賞を2度授与。現在、星槎グループ医療・教育未来創生研究所ボストン支部の研究員として、日米共同研究を進めている。著書に『カロリーゼロにだまされるな――本当は怖い人工甘味料の裏側』(ダイヤモンド社)、『「カロリーゼロ」はかえって太る!』(講談社+α新書)、『健康でいたければ「それ」は食べるな』(朝日新聞出版)がある。
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