唯一はっきりしているのは、増税と肺炎騒動の合わせ技で日本がマイナス成長を続けることか。
「’03年のSARS(重症急性呼吸器症候群)騒動のときは、日本の経済成長率が0.2%以上押し下げられましたが、今回の新型コロナウイルスの感染拡大はSARSを上回る規模。特に、
防疫対策の遅れもあって日本の影響は深刻です。昨年のインバウンド消費は5兆円に迫る勢いでしたが、夏場まで肺炎騒動が終息しないようであれば、今年は
1兆円以上減少するでしょう。日本の輸入品の4分の1近くを占める中国の生産停止で輸入物価(エネルギーを除く)が高騰し始めているうえに、国内で自粛ムードが広がっているため、
個人消費は2兆円以上のマイナスになると試算しています。これを合わせるだけで、
経済成長率は0.6%も押し下げられる。SARSのときと比較して3倍のインパクトです。ただし、当時と今とでは状況がまったく異なる。’03年度の中国GDPの世界シェアは4%でしたが、’19年度は18%まで拡大しています。中国の景気動向は、世界経済をも大きく左右する。2月に入ってから中国人民銀行は計1.6兆元(約25兆円)もの資金を金融市場に供給していますが、経済を立て直すためにさらなる財政出動に舵を切るようならば危険です。リーマンショック後の4兆元の景気対策が地方政府や国有企業の債務を急増させてチャイナショックを引き起こしたように、
新たな信用不安を招きかねない」(永濱氏)
闇株新聞氏も「新型肺炎の影響で企業の業績下方修正が相次ぎ、設備投資が減少すれば、
’20年1~3月期GDPは過去最悪の2桁のマイナス成長となる」と予想する。中国の生産ライン再開が遅れるようならば、
「中小の製造業が操業停止に追い込まれて、“万単位”の大量倒産が起きる」(友田氏)という声もあがる。
日本は増税と新型肺炎のWショックを克服することはできるのか? 最悪の事態に備えておくのが賢明かもしれない。
2月19日、中国の保健当局は新たに感染した人の数が、前日から1300人も減少して394人にとどまったと発表。一日当たりの感染者数が1000人を下回ったのは1月26日以来。前日の1693人増からの大幅減で終息の兆しが見えてきたように思えるが、2月半ばには集計方法の変更で一日に1万5000人も増えただけに、情報の透明性には疑問符がつく。
<取材・文/週刊SPA!編集部>
※週刊SPA!2月25日発売号より