「聞いて質問する」ことが生む大変革。保険業界の巨人が語る営業術

業界の変革は自社から始める

モチベーションファクター株式会社代表取締役・山口博氏

モチベーションファクター株式会社代表取締役・山口博氏

 山口:「自分の考えや正しさに執着しないで、相手に合わせるということでしょうか」  足立:「合わせるところは合わせるのですが、経営者とメンバーの時間軸はそもそも合うことはないと思います。合わないということを前提として考えて、合わせていかないと先ほどの執着になってしまいます。  また、私は短時間睡眠を自分の時間を捻出する手段として活用しております。それは、やりたいことや、やるべきことがあるからであり、人にはお勧めしているわけではありません。仮に何もやることがない人が短時間睡眠をしても、時間が余ってしまい逆に疲れるだけです」  山口:「一般社団法人保険乗合代理店協会の最年少理事として、保険業界をどのように変革したいと考えていらっしゃいますか」  足立:「保険代理店業界は、現状大きな過渡期にある業界です。よりお客さまから求められ、また社会的な責任、地位の向上を図っていきたいと考えています。何より、子供たちや学生から、保険代理店業界に就職したい、目指したいと言われるような業界にしていきたいと考えています。  そのためには、未経験者や新卒でもこの業界で活躍できるようなロールモデルを自社で構築していきたいと考えています。業界の変革は、先ずは自社で成功モデルを確立し、業界全体のムーブメントを創っていきたいと考えています」  山口:「読者に是非伝えたいということがありますか」  足立:「私の20代は圧倒的な量をすると決めて活動をしていました。質は量からしか生まれないという考えからです。さまざまなことに挑戦し、報酬よりも成長を求めていただくことが、結果的に報酬がついてくると思います。是非、共に成長していきましょう」

行動の積み重ねが意識を変えた

<対談を終えて>  足立さんは、類まれなるボトムアップの巻き込み型のリーダーシップの使い手だ。私は、何もトップダウンのマネジメントを全否定しているわけではない。しかし、トップダウンでなくてもよい場面、トップダウンでないほうが効果が出る場合は、ボトムアップのリーダーシップを繰り出せばよい。  そのときのために、トップダウンとボトムアップがいつでも繰り出せるように、スキルを身につけておくことが必要だ。足立さんの場合は、飲食店での連日の顧客対応の積み重ねが、「行動が意識を変える」ことの実現につながったように思えてならない。(モチベーションファクター株式会社・山口 博) 【山口博[連載コラム・分解スキル・反復演習が人生を変える]第178回】 <文/山口博>
(やまぐち・ひろし) モチベーションファクター株式会社代表取締役。国内外企業の人材開発・人事部長歴任後、PwC/KPMGコンサルティング各ディレクターを経て、現職。近著に『チームを動かすファシリテーションのドリル』(扶桑社新書)、『クライアントを惹き付けるモチベーションファクター・トレーニング』(きんざい)、『99%の人が気づいていないビジネス力アップの基本100』(講談社+α新書)、『ビジネススキル急上昇日めくりドリル』(扶桑社)がある
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