新型コロナウイルス禍で不安定化する社会の中、誤った情報に惑わされないために

不確かな環境が判断に影響

 このショッキングな出来事の背景にも、チャルディーニ教授は「社会的証明」があると述べています。彼らがカルト教団の信者であり、指導者の言うことを拒みにくい環境にあったことは言うまでもありませんが、教授は、「これがサンフランシスコだったら、人々は自殺命令に従っただろうか?」と問いかけます。  彼らが移住したガイアナの熱帯雨林は、物理的にも社会的にもおそろしく不確かな環境にあり、そうした状況下で彼らは、多くの仲間が行なっている行動=自殺することこそが唯一無二の正しい行為であると判断せざるを得なかったのだろう、と教授は主張するのです。

「みんながやっているから」だけの理由で行動しない

 では、こうした不確かな状況下で、誤った情報に惑わされることなく、理性的な行動をとるにはどうしたらいいのでしょうか。  チャルディーニ教授は、「社会的証明」の罠に引きずられないために、以下の2点を強調します。 ①他の人が行なっている、明らかに誤っている行動・主張に対して敏感になること ②自分の行動を決定する際には、他の人の行動だけを意思決定の根拠にしないこと  これらが肝要であると述べています。    そして、ときには「みんながやっているから」という心理に疑いを持ち、その状況下における他のエビデンス、例えば「客観的な事実」「これまでの自らの経験」「自分自身の直感」などと照らし合わせて、判断するのが望ましいようです。    新型コロナウイルスがいつ頃収束するのか検討もつきませんが、少なくともしばらくは「不確かな状況」が続くことが予想されます。そうしたなかで、上記のようなことを念頭におき、誤った情報に惑わされることなく、理性的な行動をとるようにしたいものです。 <文/高田晋一>
たかだしんいち●(株)成功データ研究所 代表取締役。作家。データアナリスト。成功哲学/自己実現の専門家。早稲田大学第一文学部哲学科卒業、英国国立ウェールズ大学経営大学院Postgraduate Diploma取得。電通グループ各社で10年以上にわたり、リサーチ・ディレクターとして市場調査やデータ分析を担当。 「一生懸命努力してきたのに、なぜ自分は成功を手にできないのか?」という長年の疑問から、成功哲学に関する研究を始め、1000冊以上の文献を調査してあらゆる自己実現法を自ら試し、独自のメソッドを確立。その後独立し、「㈱成功データ研究所」を設立。これまでの研究結果を書籍やセミナー、記事などを通じて発表しているほか、「本当にやりたいこと」を発見し、実現するためのコンサルティングサービスなどを行なっている。 著書に、『「人生成功」の統計学 自己啓発の名著50冊に共通する8つの成功法則』(ぱる出版)、『自己啓発の名著から学ぶ 世界一カンタンな人生の変え方』(サンクチュアリ出版)、『大富豪の伝記で見つけた 1億稼ぐ50の教え』(サンクチュアリ出版)、『成功法則大全』(WAVE出版)『やってみてわかった 成功法則 完全実践ガイド』(ディスカヴァー・トゥエンティワン)など HP:「成功データ研究所」 メルマガ:「今日の成功データ」 Facebook:高田晋一 Twitter:@shinichi_exp 無料相談:successful-data.com/consultinglp/
1
2