米国も最警戒。麻薬王が擁するメキシコ麻薬カルテル「シナロア」を凌ぐ新興勢力「CJNG」

メキシコと米国で繰り広げられる縄張り争い

 この2人のリーダーの活動には限界が来ている中で、この二つのカルテルのメンバーはメキシコと米国で熾烈な縄張り争いを展開しているのである。  米国の麻薬取締局(DEA)とメキシコの検察庁(FGR)によると、双方の勢力はメキシコではシナロアが60%のテリトリーに進出しているのに対しCJNGが75%という比率になっているそうだ。一方の米国では2015年度のDEAと2019年の司法省の情報から判断して、シナロアが米国全土の74%で影響力を発揮しているのに対し、CJNGは70%とされている。(参照:「Sinembargo」)  この二つのカルテル以外にメキシコと米国で影響力を持っているカルテルは以下の通りである。 メキシコ⇒ シナロア60%、CJNG75% 、ベルトゥラン・レイバ16%、カバリェロス・テンプラリオス3%、ゴルフォ6%、ロス・セタス3%、フアレス3%、ラ・ファミリア・ミチョアカン13%、ティフアナ3%。  全国レベルで、しかも数多くあるカルテルから割り出したパーセンテージということで、パーセンテージが少なくても一定の地域では強大な力を持っているカルテルという場合もある。  CJNGの75%というのは、メキシコ32の自治州の中で23の州で存在しているというのが基盤になっている。 米国⇒ シナロア74%、CJNG70%、ベルトゥラン・レイバ42%、カバリェロス・テンプラリオス28%、ゴルフォ24%、ロス・セタス22%、フアレス18%、ラス・モイカス4%。  ラス・モイカスはメキシコではゼロパーセントであるが、米国では結構力を持っているメキシコのカルテル。  シカゴではCJNGが支配しているが、シカゴを首府とするイリノイ州全体ではシナロアが支配しているといった場合もある。 (参照:「Sinembargo」)

DEAも警戒するCJNGの急成長

 彼らがメキシコから米国に持ち込んでいる麻薬は大麻、コカイン、メタンフェタミン、フェンタニルが中心となっている。特に、最近5年間のCJNGの成長は著しく、これらの麻薬をトマト、アボカドといった大量に米国に送られている積荷に混ぜて56か所ある国境通過所で検出されることなく通過させて米国に持ち込んでいる。特に、その一部の通過地点は出入りする交通量が多く積荷の中身についての密告とかがないと検査できない状態を利用するのだという。(参照:「Infobae」)  DEAはCJNGを10億ドル(1080億円)という価値評価をしている。それは彼らの資金力と、それをうまく高度なテクニックを有して洗浄し、その一方で恰も強力で統率された軍隊が進攻して行くかのように市場を早いスピードで拡大しているからである。このようなノウハウはシナロアではもっていない。(参照:「La Verdad noticias」)
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DEAの重要指名手配9人の4人がメキシコ麻薬カルテル
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