「幸福の科学大学」は開学しても定員を維持できない? 系列中高が軒並み定員割れに突入中

高校2校とも定員割れ

 この2つの高校について、県ごとに発表されている学校基本調査の結果や県への取材から学年別生徒数を整理した。 幸福の科学学園(高校)の生徒数の推移  未着部分もあるが、大学開設予定の2021年前後に高校を卒業する世代のデータは揃っている。表の中に引いてある赤線が、幸福の科学大学が予定通り開設された場合の初年度入学世代とそれ以前の世代の境界を示している。  まず那須校高校の「1学年」の数値だ。2017年度までは1学年が定員とほぼ同じ100人前後だったが、2018年度から定員割れが始まっている。2019年度は那須校・関西校ともに定員の8割を下回った。  2018年度入学世代は、ちょうど大学の開設初年度に入学する世代。定員の8割を下回った2019年度入学世代は大学2期生の世代だ。  この流れは今年も変わらない。滋賀県が発表した2020年度高校入試の出願状況によると、関西校高校は出願者数自体が定員割れ(定員100、出願79)。全員が入学したとしても、今春の入学者数は2019年度並みで、前年を下回ってもおかしくない。  育伸社発表の受験情報によると、前年2019年度入試では受験者数が84人。受験者全員が合格したが、県発表の情報によればその春に1年生として在籍していたのは79人。5人が入学辞退者と思われる。  なぜ学園が定員割れに陥ったのか。  入試時点で定員割れということは、信者の「学園離れ」が進んだか、学園の定員を満たせないほど信者が減った可能性がある。そうではなく教団内で子供が減っている「少子化」の可能性も、もちろんある。  気になるところだが今回は原因の検証は省き、数字いじりに徹したい。生徒数や受験者数のデータからは、他にも様々なことが見えてくる。

学年間の脱落者も多数

 幸福の科学学園は脱落者も多い。留年か中退か他校への転出か、理由はわからないが次の学年に進まなかった生徒たちだ。  特に多いのが関西校高校2016年度入学世代だ。1学年時は102人だったが、3学年になった11人も減って91人に。ほぼ1割が脱落している。卒業者数のデータはないが、卒業時にはさらに減っている可能性もある。  那須校も、各世代が1~3学年の間に数人が脱落している。たとえば2015年度入学世代は1学年時98人だが、3学年時には92人に。2016年度入学世代は同じく102人から98人に減った。2017年度入学世代は3年時までに4人減り、2018年度入学世代は現在まだ2年生だがすでに4人減っている。  データが揃っている年度に限った話ではあるが、定員割れが本格化する前から、2校とも全ての世代に脱落者がいる。そのため1学年時には定員を上回っていた世代も全て、3学年年時には常に定員を若干下回っている。  県内偏差値60台後半で国公立大学や有名私立大学の合格実績をアピールする「進学校」風の学校にしては、ずいぶんと不自然な数字だ。優秀な生徒もいる反面、学園の勉強や生活(那須校は全寮制、関西校は大半が寮生活)についていけない生徒が毎年いる、格差の大きい学校ということだろう。  大学1期生にあたる2018年度入学世代(現在2学年)もすでに、那須校・関西校それぞれで4人が脱落している。那須校は定員割れした状態からの脱落者だ。卒業までに生徒数がさらに減る可能性が高い。
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中学も定員割れ。信者の「学園離れ」か?
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