病院や保育園、オススメのお店情報を住民同士がシェア。ご近所SNS「マチマチ」が作る「つながりのある社会」
SNSを通じて世界中の人とコミュニケーションが取れる一方で、地域の繋がりが希薄になっている。そんな中、地域住民が地元の情報を共有して助け合う「ご近所SNS マチマチ」というサービスが人気だ。
同サービスの利便性やユーザーの感想のほか、運営会社である株式会社マチマチ代表の六人部生馬さんに開発のきっかけや現在の活動を聞いた。
まず、マチマチはどう使うのかをご紹介する。
普段の使い方としては、大きく分けると2つある。ひとつは、住んでいる地域にあるお店や施設について知っていることを発信すること。
「このカフェでは、パスタセットがおすすめ」
「駅前のスーパーでは青果が安い」
といった感じだ。
もうひとつは、気になることを他のユーザーに質問したり、誰かの質問に回答したりすることだ。
「◯◯病院の混雑具合が知りたい」
「子どもを◯◯保育園に入れたいけど、評判はどうか」
などの質問が寄せられている。感覚としてはこちらの使い方をする人が多い。
寄せられる質問を眺めると、行ったことがあるお店や施設名が出てくるので親近感が湧いてくる。
かかりつけの小児科に関する質問を筆者が目にした時には、予約方法や混み具合、スタッフや先生の対応について細かく回答した。自分が持っている情報が、生活圏を同じくする人の疑問解消に繋がるのは嬉しかったし、連帯感を覚えた。
そのほか、就活や転職活動中の人からは「この企業はどうか?」という質問があるほか、地域のイベントに関する告知も見られる。マチマチを通じて家の近くで意外な催しが開かれていることがわかる。地域のことを知るきっかけになるわけだ。
マチマチは普段の生活で役立つのはもちろんだが、災害時に大きな力を発揮する。強い勢力で昨年上陸した台風15号での事例を紹介する。
災害時には自治体が情報を発信するが、職員の数には限りがあるため、リアルタイムというわけにはいかない。しかし住民が知りたいのは「今起こっていること」であり、情報の鮮度にズレが生じてしまう。また自治体によってはサーバーがダウンし、現況が全くつかめない事態も発生した。
このときマチマチではユーザー同士で、川の水位や避難所の状況、食料品の残り具合などを共有し、助け合っていた。
マチマチユーザーの田中さん(仮名、30代女性)は「住んでいる自治体のサーバーが落ちたのですが、マチマチに災害情報を共有するコミュニティが立ち上がっていたため現状がわかり、本当に助かりました」と振り返る。
災害以外にも、地域のコミュニティーが役立つケースがある。毎年1月頃には認可保育園の申請に落ちた親たちが、復職への不安を抱えたり、保活疲れにうんざりしたりする。そんなとき、マチマチに心境を書くことで、同じ悩みを持つユーザー同士が励まし合っているのだ。
「悩んでいるのは自分だけではない」と思えるだけでも、不安感はいくぶん和らぐ。
「この小児科の混み具合を教えてください」に住民が回答
台風15号上陸時には、リアルタイムな情報を共有して助け合った
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