ワクチンも治療法もない新型肺炎。一般人ができる最大の「防衛策」は?

むやみに不安にならず手洗いなどしっかりと対策を

 では、マスクの効果も限定的、ワクチンや治療法もないとなれば、日本にいる私たちができる対策は何か。イギリス国民保健サービス(NHS)がウイルス感染を防ぐ方法として推奨している以下の3つが、結局、いちばん効果的といえる。すなわち、「ぬるま湯と石けんで定期的に手を洗う」「なるべく目や鼻を触らない」「健康的な生活を維持する」。  いつもこういった新型感染症が流行すると、不安やパニックで体調を崩した人が救急外来や心療内科を受診する。感染もしていないのに健康被害を起こしたり医療資源を使ったりするのは、誰の得にもならない。心配する気持ちはわかるが、テレビなどは「治療法がない!」などと煽らないでほしいと思う。ちなみに、今の時期は新型肺炎よりインフルエンザにかかる確率のほうがずっと高い。くれぐれもよく寝てよく食べて無理をしすぎずに、インフルエンザにかからないようにし、万が一かかったらウイルスをばらまかないためにも5日から1週間は仕事を休んでもらいたいと思う。 <文/香山リカ>
’60年、北海道生まれ。東京医科大学卒業。立教大学現代心理学部教授も務める。豊富な臨床経験を生かし、現代人の心の問題を中心にさまざまなメディアで発言を続ける。音声アプリ「ヒマラヤ」で「香山リカのココロのほぐし方」を配信中。最新刊『オジサンはなぜカン違いするのか』
1
2