こうして魅力的な物件を用意することで人気を集め、自ずとリピーターも増えていく。
「継続的な高収益のためには『
高リピート』は欠かせませんが、必ずしも同じ方に来ていただく必要はありません。一度、お泊まりいただいた方が知人に推薦してくれるケースもありますし、民泊サイトでは見る人と同じ居住国のレビューが優先的に表示されるため、ある国の方から高評価をいただくと、自然とその国からのお客さまが増えていく傾向にあります」
また、高い評価のレビューを早い段階から獲得するためには有効なテクニックも存在する。
「例えば、募集開始当初、一泊1万円でお泊まりいただいたお客さまが『とてもコスパのいい宿でした』と書いてくれれば、その後、3万円に値上げしたとしてもそのまま『コスパのいい宿』としての評価が残ります。そのため、
最初の3か月から半年は目指している宿泊単価よりも安くして、高評価を集めることも有効な戦略です」
一方、水田氏が考える「やってはいけない戦略」とは?
「
人気の宿のマネや、近隣相場を意識した値段設定は絶対に避けるべきです。これをしてしまうと、価格競争にのみ込まれて、値段を下げないとお客さんが泊まってくれない物件になってしまいます。また、民泊に関するルールは今後も変わっていく可能性があるので、長く続けていく予定の方には民泊新法での届け出や特区での開業ではなく、簡易宿所の許可を取ることをおすすめしています」
手堅く高収益を民泊で実現してきた水田氏。しかし、それでも想定しきれない逆風が吹くこともある。いまだ収束の気配を見せない新型コロナウイルスの感染拡大で訪日観光客は激減。当然、民泊事業者も大きな影響を免れることはできない。
「今回のコロナウイルスの影響で売り上げが通常の3分の1から4分の1ほどになってしまっています。ただ、こういった状況だから工夫できる余地もあります。具体的には
30〜40%ほど値段を下げて、直前予約や長期滞在客を誘導しています。ディスカウントを行い、こちらから『お部屋が空いていますので、もう少し滞在できますよ』と提案することで実際に4日も延泊していただいたお客さまもいらっしゃいました」
長期旅行者のなかには最初の何日間だけ宿を決めておき、次の滞在先を決めていないケースも珍しくないことを把握していた水田氏ならではの機転が大きく功を奏した。
「滞在前も滞在中も、お客さまと近い距離で、連絡を取ったり接したりしていることで延泊は受け入れられやすくなるのは間違いありません。今回のケースだけでなく、‘18年8月の台風による関西空港封鎖の際も似たような状況になりましたが、フライト自体がキャンセルとなる場合など、不可抗力の場合は全額返金を行うようにしてきました。直前すぎて返金が難しい場合、またはフライトはキャンセルされておらず、お客さま自身の判断によるキャンセルの場合は、
返金の代わりにその金額分を有効期限1年のクーポンとして使えるようにしたこともあります」
高評価と将来のリピーター確保が物件の生命線だからこそ、有事での臨機応変さがより重要となる。
「予定していた日程に部屋が空いてしまうリスクはありますが、クーポン対応の場合だと、売り上げは入ります。さらにお客さまにとってはよりベストの時期に安心して来日でき、滞在を楽しむことができる。このような対応が物件の満足度を上げることにも繫がります」
ルールを熟知し、常に利用者に寄り添い続ける。そうした日々の積み重ねにより、高収益物件は生まれるようだ。