「真っ当な労働組合が孤立している」 関西生コンが弾圧されるのはなぜか<佐高信×木村真>

対談 連帯ユニオン・関西地区生コン支部(関西生コン)の組合員が述べ81人も逮捕される事件が起きている。なぜ関西生コンだけが弾圧されるのか、今後どのような支援が必要なのか。ジャーナリストの佐高信さんと大阪府豊中市の木村真(きむらまこと)市議に話を聞いた。

木村真市議が昨年11月に声明を発表

――大阪の状況を教えてください。 木村:関西生コンへの弾圧が始まっても、全労協系など関西生コンの支援に動いてくれるだろうというところしか支援してくれない状況が長いこと続いていました。しかも関生はこれまでに何度も弾圧を受けてきたので、「あぁ、またか」くらいの雰囲気もあったんです。なので当初は支援の輪があまり広がらなかった。
木村真市議

木村真市議

 しかしいつまで経っても弾圧が終わらず、逮捕者の数も尋常じゃなくなってきました。武建一委員長も逮捕されたきりで出てこない。そこでだんだんとこれはいくらなんでも本気で対抗しないといけないという風になってきました。 ――そうしたなか、木村市議は昨年11月7日に抗議声明を発表されました。この声明には、全国23都道府県の125人が名前を連ねています。どのような経緯で発表されたのですか。 木村:マスコミが全然報道してくれないことに危機感を覚えたんです。報道があるとしても、産経新聞などが警察発表を垂れ流すだけ。  森友学園のときも、裁判に踏み切ったら報道してくれたのですが、それまでいくらマスコミに情報提供しても取り上げてくれなかった。もちろん記者の人は興味を持って話を聞いてくれるのですが、ただ怪しいというだけでは、なかなか報道に結びつかないんです。でも提訴して、記者会見をしたら、朝日新聞を筆頭に、大きく取り上げてくれた。  関西生コンについても、何か動きを作れば、マスコミも取り上げてくれるんじゃないかと思ったんです。実際、記者会見については、朝日新聞大阪版が11月8日付できちんと取り上げてくれました。  やっぱり「これはおかしいな」と思っている記者がいても、なかなか記事にしにくいんだと思います。こちらからアクションを起こして、報道しやすいようにするのが大切だと痛感しました。

木村市議への嫌がらせ?

――木村市議は、森友問題をいち早く告発したことで知られています。関生への弾圧に対しても、先頭に立って抗議をしている。嫌がらせを受けたり、活動を妨害されたりすることはありませんか? 木村:インターネットにむちゃくちゃに書かれるくらいで意外となかったですね。電話や手紙は激励がほとんどでした。  ただ、これは関係あるのかないのかわからないけれど、2016年の5月ごろから森友問題についていろいろと調べ始めたんですよ。10月くらいからは地元でビラ配りもしていたんですね。その年の年末に地元のMBS毎日放送が、僕の政務活動費の使い方がデタラメであるという放送をしたんです。  違法な点もなく隠したわけでもないのに、僕が勉強のためにたくさん書籍を購入していることについて「この本は豊中市政と何の関係があるんですか」とか「この本でどんな質問をしたんですか」とか聞いてきたわけです。僕は「直接質問に使う以外の本も参考のために購入しますよ」と説明したんですけど、オンエアされた放送を見たら「確かにこいつとんでもない奴やな」って感じがするようなものになっててね(笑)  たかがこれくらいの問題で、公共の電波を使って5分間も特集するというのは、やっぱり何か意図があるとしか考えられないと思って、あるとしたらその年の10月から僕が森友のことで動き始めていたので、もうこれしか考えられないんじゃないかと。
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