「女性たちは職場で見た目について色々と要求される」 石川優実インタビュー

石川優実さん 女性がヒールやパンプスの着用を強制されることに反対する社会運動「#KuToo」を提唱する石川優実さん。#KuTooの発端になったツイートが投稿された昨年1月24日から早一年。石川さんにインタビューを実施し、「クソリプ」への対応や法律の改正について話を聞いた。

パンプスの強制とメガネの禁止

 #KuTooの動きが盛り上がって以降、本当はジェンダー問題として由々しきものがあるにも関わらず、日常的に無視されているものに対して声を上げる女性たちの動きが全面化している。女性に対する業務中のメガネ着用禁止、などもそうだ。筆者の感覚でも「社会人のマナー、常識」などというような物言いで、差別や不当な扱いが正当化され、職場の上下関係や秩序の中で女性たちが我慢を強いられてきたことが多かったように思える。  そういった状況に#KuTooが風穴を開けたというか、そんな不当な我慢なんかしなくていいんだ、という方向に、女性たちをエンパワーメントしているのではないだろうか。最近はメガネの着用禁止反対などでも声が多くあげられている。 「メガネの件でも#KuTooの影響があって、声を上げられるようになったのでは、というのであれば嬉しいですね。ニュースサイトのBusiness Insider Japan編集部の竹下郁子さんが#KuTooについてのアンケートを取られてまして。中にメガネの着用禁止の件があって、それで調査してくださったんですが、そういう女性だけが強いられる規制って働いていると結構あると思いませんか。  化粧するように求めるのと同じ感覚で、メガネも禁止しているんでしょうが、女性は見た目について男性よりも厳しく色々と要求される。いわゆるちゃんとした格好だけではなくて、それにプラスして『キレイ』が求められている、というか。そしてその感覚が女性たちにも当たり前に刷り込まれてしまう」

なぜクソリプに対応するのか-我慢する方が大変

 石川さんといえばツイッター上でいわゆる「クソリプ」に対して正面から反論する、というタフさもまた印象深い人だ。彼女に投げつけられる数々のクソリプ。差別意識と女性嫌悪が、紋切り型のツイートの中にいわく言い難い雰囲気で醸し出されている例のアレだ。クソリプに表現されるああいった感性が一部の人間だけのものであるのかは正直なところ不明だが、それにしても、石川さんがクソリプに対抗していることに勇気付けられている人もまた多いだろう。積極的にクソリプに対抗する意味とはなんだろうか。 「私はグラビアをずっとやって来ていますが、その頃からアマゾンのレビューとか匿名の掲示板などで、ずっとそういった内容のものはあったんですね。ただ当時は言い返す手段もなかったですし、嫌だなあと思いながらも黙っていました。けれど、我慢していても、全く無くなってはいません。それをツイッターをやっていて感じて、黙っていて無くなっていないんだったら、黙らないほうがいいんじゃないかと思いました。  クソリプには有名人の方でも苦しんでいる場合がある。私の友人でも、こういったことが原因で仕事を辞めた、という方もいますし、放っておいていいことじゃない。そういう意識があってやっています。大変じゃないかって? でも、言われっぱなしで無視する方が大変です。 石川優実さん また、単に言い返すというだけじゃなくて、クソリプを投げつけてくるような人たちがいるんですよ、というのを社会的に晒すということも考えての行動です。私がクソリプに対抗して発信すれば、何が起こっているのか、見た人が気が付いてくれる。ちゃんと問題意識を持ってくれるんじゃないかと。  女性の外見がどう、というような話をクソリプを発する側はさも正しい意見であるかのように言ってきます。それに対しては、よく考えてから言ってみろ、と思うんですよね。自分が発している言葉を自分で理解しているんでしょうか? 突っ込みどころがありすぎですが、それを指摘したいなというのもありました」
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法律を変えていくしかない?
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