shige hattori / PIXTA(ピクスタ)
まだ食べられるのに捨てられている食品は年間643万トン
毎年2月、節分での恵方巻シーズンに向けて、農林水産省はこの1月17日、食品ロス削減を呼びかけ、コンビニやスーパーなど26事業者が食品ロス削減の取り組みを行うとの回答を得た、と発表した。
恵方巻は節分に恵方を向いて食べると縁起が良いとされる巻き寿司のことであるが、他方で売れ残りによる大量廃棄が問題となっている。本来食べられるのに、消費期限が近いために廃棄されたり、食べ残しとして捨てられたりしてしまう――。
こうした食品ロスを大幅に削減するため、2019年10月1日に食品ロス削減推進法が施行された。関係省庁への政策提言など、食品ロス削減推進法の成立に尽力したのが、全国フードバンク推進協議会だ。同協議会の米山広明事務局長に取材した。
「農水省の推計値(2016年度)によれば、日本において、まだ食べられるのに捨てられている食品は食品関連事業者から約352万トン、一般家庭から291万トン、あわせて年間643万トンに及びます。国連世界食糧計画(WFP)の食糧援助量は380万トン。つまり、日本だけでその1.7倍の量を廃棄していることになります。本当にもったいないですよね」(米山さん)
農水省資料より
一方で、日本においても格差が拡大し、子どもの貧困が深刻化している。厚労省によれば、日本における相対的貧困率、つまり、収入から税金や社会保険料を引いた実質の手取り分での収入の高低で、真ん中の値の半分に満たない層が13.9%(2015年統計)。つまり、40人学級の場合であればそのうち6人が相対的貧困にある。
「相対的貧困にある世帯の子どもたちは一日のうちまともな食事が給食だけということもあり、こうした子どもたちには支援が必要です。そこで、私たちが取り組んでいるのがフードバンク活動です。
一般の家庭や企業から余った食品や、安全に食べられるのに、包装の印刷ミスや外箱の変形などで売れない食品を寄付してもらい、福祉施設や食品の支援を必要とする世帯に無償で提供するというもので、食品ロス削減や子どもの貧困問題対策として全国に取り組みが広がっています」(米山さん)
全国フードバンク協議会は、加盟する33の団体の活動支援や、政策提言をすることで、フードバンク活動を普及、推進している。フードバンク活動は欧米では長い歴史があるものの、日本ではまだまだ知られておらず、支援のための食品を集めるのにも一苦労だという。