地域の助け合い、女性の政治参加が子どもを救う。映画『子どもたちをよろしく』<寺脇研×前川喜平>

政治は、女性に任せた方が良い

前川喜平さん

前川喜平さん

 ──先日、ジェンダーギャップ指数において日本が過去最低の順位となったことが大きな話題となりました。男女格差においてはどうお考えですか? 前川:男性優位の社会であることは間違いないですね。まず、政治がそうなっていますよね。地方政治においては女性の数が増えてきていますが、国政はまだまだ男性優位が続いています。  しかも、特に今の政権与党の女性は、まるで「男性に同化してしまった女性」だと感じることがあります。男性優位の社会の中で、男性の古いタイプの振る舞いを見習って、同じように、あるいはそれ以上に「男性らしく」振舞っている人が多いという印象です。  僕は、本来、政治というのは女性に任せた方がいいと思うんですよ。「男性は」「女性は」と単純化することはもちろん出来ないですが、女性の方が、「社会全体を育む」というメンタリティを持っている人が多いと思います。政治の世界で女性が権力を握るようになると、ずいぶん変わってくるでしょうね。

変えようと思えば変えられる

──どうして女性が政治に向いている、と? 前川:男性は戦う性、女性は愛する性だと言われていますよね。父性原理、母性原理で言うと、政治は母性原理のもとでやった方がいいと思うんですよ。 寺脇:競争に打ち勝つ、という考え方ではなくて、誰もこぼさないように皆で幸せになりましょう、という発想は、女性の方が持ちやすいというのはあるのかもしれないね。ただ、これまでずっと、男性に競争を強いてきた社会というのが背景にあることは忘れてはいけない。やっぱり、社会的活動を行うにしても、女性の方がハードルが低いですよね。男性は「そんなことしていないで、競争に勝ってこい」と言われてきたわけですから。 前川:文科省時代に、大学生・高校生を対象とした留学支援の仕事に携わっていたのですが、留学志望者の多くが女性であることには大変驚きました。高校生に至っては、7割が女性だったんですよ。男性の方が、受験勉強を優先する傾向があるんです。男性が、競争社会の中でいかに既存の秩序に縛られてきたか、あるいは親を含めた周囲が、いかに男性を縛ってきたか、ということを痛感させられました。
©子どもたちをよろしく製作運動体

©子どもたちをよろしく製作運動体

 寺脇:文科省は、まだジェンダーギャップが少ない方ですよね。優秀な女性官僚が育っている。私の時代は「官僚なんて男の仕事だ」「徹夜で汚い格好をして働かなければいけないんだ」というマインドが強かったですけれど、変えようと思えば変えられる、ということだと思います。  この映画も、変えようと思えば変えていけるんだ、という考えのもとで、観てほしい。確実に存在している社会の闇というものを、しっかりと知ってほしいですね。出来れば一人ではなく友人・知人何人かで鑑賞して、感想を共有してほしいと思います。 <取材・文/太田冴>
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