プレパパ向けのワークショップで男性が気づいた「ママの負担」
同調査では、育休中に夫婦間で家事や育児の分担がうまくいっているケースほど、夫婦幸福度が高いこともわかった。
そこで湯浅さんは、妻が妊娠中の段階からパパが育休を取った後にどんなことができるのかを話し合えるツールを作ろうと思い立つ。これが現在推進中の育休冊子プロジェクトに繋がっている。
冊子の内容は、2019年9月にプレパパを対象に実施したワークショップ、「パパ2.0〜『育休』をハックしよう〜」をベースとした。
「ワークショップでは、月齢ごとの育児タスクやママの悩みをまとめた表を用意し、パパたちにわかりやすく説明しました。中には『料理が得意なので、子どもの離乳食が始まる頃からが自分の出番だと思っています』と話したパパがいらっしゃいましたが、ママや子どもの変化をデータで示すことで、産後すぐから関わる必要性を感じてもらえました」
ワークショップ資料
ワークショップはパパ単独で取り組むだけでなく、帰宅後に奥さんと話し合う必要があるワークもあった。
「『育休をいつ取得するのか』『その時にはどんな役割分担をするのか』をお子さんが生まれる前から夫婦で考える機会を持っていただけるよう企画しました」
ワークショップ資料
制作中冊子のサンプルページ
「とるだけ育休」になってしまうのは、男性の育児に対する知識不足が考えられる。前述のワークショップや現在企画中の冊子のように、ママの負担を知り、育休中にどう行動すべきかを学ぶ機会があれば、家事や育児に男性が向けるアプローチは変わってくるはずだ。
育休冊子制作のクラウドファンディングを進める「コネヒト」社内では、育休取得で感じた良い点について以下のような声が挙がっている。
男性からは「こどもの日々の成長をじっくり見られた」、「仕事による忙しさ、疲れがない状態で子どもに向き合えた」など、自分の子どもと過ごすことの楽しさに関する意見が多かった。
一方で夫が育休取得経験がある女性からは、
「初産で不安だったけど、一人じゃない安心感があった」
「睡眠時間が少なかったけど、朝はパパに子どもを見てもらったので午前中に寝ることができた」
「パパに任せてカフェや美容院に行けたので、気分転換ができた」
など、育児の担い手が複数いることで負担が軽減できたことにメリットを感じた、という声が目立っている。
湯浅さんは、「男性育休は、パパにとってもママにとってもよい機会だと思っていますが、取得することが目的になってはいけないなと。夫婦が男性育休をどう使うかを見つめるきっかけとして、夫婦が一緒に育児のスタート地点に立つ気持ちを持つのが大切だと思っています」と語った。
<取材・文/薗部雄一>
1歳の男の子を持つパパライター。妻の産後うつをきっかけに働き方を見直し、子育てや働き方をテーマにした記事を多数書いている。