ただ、この活動は果たしてどれほどの効果を生むのか、すぐに答えは出ないだろう。タイは外食が一般的で屋台も多い。こういった屋台でも持ち帰り用にプラスチック製の袋が使われており、今回の活動とは関係ないため、引き続き利用される。
それから、タイではレジ袋をゴミ袋として利用している世帯も少なくない。タイでは日本の一部の自治体のように家のゴミを出す際に使うゴミ袋が指定されていない。同時に分別も最近政府が推奨するものの、いまだに曜日や分別を気にする必要がない。というのも、国や自治体から委託されるゴミ回収業者の従業員らは給与水準が非常に低く、ゴミの中からペットボトルや売却できるものなどを彼らが仕分けして売りさばいているのだ。大義名分として、それらは彼らの収入にもなるので、ゴミは彼らに分けてもらうというのがタイスタイルなのだ。
レジ袋をゴミ袋にできなくなり、ちょうどいいサイズのゴミ袋も売れていて、これまで見たことのない「品切れ」が起こっている
消費者がレジ袋を使わなくなったところでプラスチックを使った製品は大量に売られているし、結局のところ、海に流れるように捨てているのはゴミ業者だ。一般のタイ人も先進国、東南アジアで言えばシンガポールほどゴミの悪影響に関心を持っていない。いまだに平気で道端にゴミをポイ捨てする人が少なくないのだ。だから、まずはそういった啓蒙活動から始めて行くべきなのではないだろうか。あくまでも環境問題に疎い筆者の個人的な意見であるが、結果が見えてくるのはかなり先のような気がする。
いずれにしても、もう始まったことである。レジ袋の負担がなくなり、かつエコバッグで売り上げも立つようになった小売業者がレジ袋の無償化に戻すことはまずないだろう。このレジ袋取りやめは観光客にも大いに関係することだ。コンビニで大量に買いものをする際にはなにかしら袋を用意することをおすすめする。
見向きもされなかったゴミ袋が売れているので、(少なくともこの店舗では)これまでなかったゴミ袋のサイズ一覧を床に置き始めた
<取材・文・撮影/高田胤臣>