自動配布延期になったMicrosoftの新「エッジ」、手動DLでインストールしてみた

拡張機能はどうなっている?

 メニューの「拡張機能」を開くと、ここも面白い。「Microsoft Store から拡張機能を入手する」を選択すると、Microsoft Edge Addons のページが開いて、拡張機能をインストールできる。
Microsoft Edge Addons

Microsoft Edge Addons

 それだけでなく、Chrome ウェブストア – 拡張機能 に行くと、「Chrome ウェブストアから Microsoft Edge に拡張機能を追加できるようになりました。」という案内と、「他のストアからの拡張機能を許可する」というボタンが表示される。
Chrome ウェブストア

Chrome ウェブストアからも拡張機能追加可能

 徹底的に、Google Chrome からの乗り換えの敷居を下げようとしている。この許可の切り換えは、設定の「拡張機能」の左下にあるトグルボタンから簡単におこなえる。

ChromiumベースのWebブラウザ、新Microsoft Edge

 さて、新Microsoft Edge を見て来たが、このWebブラウザは Chromium(クロミウム)ベースである。Chromium は、オープンソースで、Google Chrome のベースになっているWebブラウザだ。開発に Google が関わっており、昔は WebKit というレンダリングエンジンが用いられていた。2013年以降は、そこから分岐した Blink に変わっている。  Chromium ベースのWebブラウザは非常に多い。本家とも呼べる Google Chrome だけでなく、Opera、Brave、Vivaldi など、多くのWebブラウザに採用されている。そこに今回、Microsoft Edge が加わることになる。  Chromium は Web の一大勢力だ。そして、Google の意向が強く反映される。Webの標準とは関係なく、Google が望む仕様が実装されやすい。  Microsoft Edge が、独自Webブラウザを捨てて、Chromium ベースになったのは明確な Microsoft の敗北だろう。しかし、Chromium に Microsoft の意向が反映されるようになったとも言える。  Windows パソコンを購入したあと、Chromium で表示されるなら、わざわざ Google Chrome をダウンロードしてインストールしない、という人も増えるのではないだろうか。少なくとも、Google Chrome を絶対入れようという気持ちはなくなった。  どの程度、新しい Microsoft Edge がシェアを取るかは分からない。しかし、もしシェアが大幅に伸びたならば、今後の Web の力関係が変わるかもしれない。 <文/柳井政和>
やない まさかず。クロノス・クラウン合同会社の代表社員。ゲームやアプリの開発、プログラミング系技術書や記事、マンガの執筆をおこなう。2001年オンラインソフト大賞に入賞した『めもりーくりーなー』は、累計500万ダウンロード以上。2016年、第23回松本清張賞応募作『バックドア』が最終候補となり、改題した『裏切りのプログラム ハッカー探偵 鹿敷堂桂馬』にて文藝春秋から小説家デビュー。近著は新潮社『レトロゲームファクトリー』。2019年12月に Nintendo Switch で、個人で開発した『Little Bit War(リトルビットウォー)』を出した。2021年2月には、SBクリエイティブから『JavaScript[完全]入門』、4月にはエムディエヌコーポレーションから『プロフェッショナルWebプログラミング JavaScript』が出版された。
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