新生活の部屋探し。プロが教える、気をつけたい”残念な”不動産仲介会社の見分け方
4月から進学・就職で新生活を迎える人は、物件探しで忙しいはずだ。部屋を借りる際、通常は不動産業者(以下、仲介業者)を利用して物件の紹介から内覧同行、契約までをサポートしてもらう。本来彼らは心強い存在なのだが、中には残念な業者もおり、意図しない物件を契約させられたり、不当な費用を請求されたりするおそれがある。
注意すべき仲介業者の対応や講じるべき対策について不動産会社「縁合同会社」代表の安孫子友紀さんに話を聞いた。
部屋を探す人が増える冬はたくさんの人が仲介業者の店舗に行くため、待たされることが多い。その場合、来店予約をするのが賢明だ。仲介業者へ希望条件を伝えておけば、来店してすぐに物件の紹介を受けられるのでストレスがない。
客としては候補物件を提案されるものと思うが、残念な仲介業者は客が来店してから物件を探し始める。
「このような業者は仕事の段取りが悪く、物件を紹介するまで何十分もかけることがあります。お客様としては期待を裏切られて腹が立ちますし、事前に伝えたことを再度話すのは面倒でしかありません」
こうした業者では、事前に希望条件を伝えたのに、資料が用意されていないことも起きがちだ。
だが多少待たされるだけであれば、残念な業者と言うにはオーバーではないだろうか。しかし安孫子さんは「業者の対応で客が判断を誤るリスクがあります」と注意を促す。
「お客様は疲れやイライラで冷静な判断ができず、初めに思い描いていた物件とは違った物件を選んでしまうおそれもあります。特に冬の時期は早く部屋を決めないと住む場所がないリスクがあるので、焦って契約してしまうのです」
自分の理想を完全に叶える物件はないが、だからといって理想とかけ離れた部屋を契約するのはまずい。書類にサインをするのは一瞬だが、その後は数ヶ月〜数年は住むことになる。
通常、物件を内覧する際には仲介会社の担当者が同行し、図面や外観だけではわからない物件の魅力や周辺事情を客に伝える。店舗から車で連れていってもらえるケースもあり、不慣れな場所で道に迷うこともない。それに街や物件を知るプロの意見は、物件選びの判断材料になる。
だが、「中にはお客様に一人で内覧に行かせる仲介業者もいる」と安孫子さんは現状を伝える。
「一番の問題は、セキュリティ面です。お客様に単独で内覧させるわけですから、仲介業者は鍵の保管場所を教えたり、オートロック解錠に必要な暗証番号を伝えたりします。これでは住人以外の人物が自由に出入りできてしまいます。何のための防犯対策なのかわかりません。仲介業者の防犯意識の低さを表しています。
仮に当該物件で空き巣をはじめとした”事件”が発生した場合、一人で内覧をしたお客様に疑いをかけられるおそれがあります。非常に腹立たしいですよね」
仲介業者が内覧の同行をしないと言った場合、どうすればよいのだろうか。安孫子さんは、「『できれば立ち会っていただけると嬉しいです』と言ってみましょう」とアドバイスする。仲介業者が同行を拒否した場合、別の仲介業者を利用するのが賢明だ。これは自分を守ることに繋がる。
段取り悪すぎ。事前に希望を伝えても資料の用意もなし
内覧不同行。客に物件の解錠パスワードを伝える防犯意識の低さ
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