郵便局の内情について語ってくれた
なぜ、コウさんは転職をしないのか。理由を聞いてみた。
「僕はコネ入社。おじいちゃんが郵便局を開いてて。簡易郵便局かな。郵便局のフランチャイズ契約と考えていただければ。なんかおじいちゃんがすごくて。家に安倍総理からもらった賞状があるんだ」
コウさんは、精神の不調が起きた時に、転職を何度も考えたという。転職エージェントと何回も面談もしたと話す。自分の身内のことを考え、最終的には、転職を断念。長年続けてきた簡易郵便局を、自分で終わらせることに引け目があったという。
2019年12月現在、日本郵便のホームページによると、郵便局は全国に2万4000局ある。そのうちの、4000局が簡易郵便局とのこと。簡易郵便局とは、個人または法人が日本郵便から委託を受け、郵便や貯金、保険といった郵便局の業務を行う。
コウさんのおじさんは、某所の郵便局長だと話す。一家代々、郵便局の局員として働くのが当たり前だという。コウさんが物心ついたときには、「自分も郵便局員になるんだ」と内心思っていたとのこと。
大学の就活時期では、「webテストだけ通れば、後は大丈夫だ」と聞かされていたという。webの学力テストは友人に頼み、適性検査だけ参考書で傾向を勉強したと話す。
このことを近くにいる上司や局長は知っており、同期は知らないという。同年代に対して、何か後ろめたい気持ちははあるのかと聞くと、「
クソみたいな保険を売ってる方が罪悪感がすごい」と返って来た。
保険のこと以外に、コウさんの一番つらいことを尋ねてみる。「最終的には自分が選んだ道とは言え、辞めれないことだよ。この会社は、社長が辞任しても変わらないと思う。
異様な空気は元からあったと聞くし。社内の風土を変えるのは、難しいよ。せめて、お客さんに届けるサービスが、良いものとなってさえくれれば」
<取材・文/HBO編集部>