地方の暮らしの声を聞かず、東京の方を向いて政治をやっている
堤防決壊で被害を受けた宮城県大郷町を視察する枝野代表
これに対して立憲民主党の枝野幸男代表は、台風19号の被災地を回りながら、地方分権型防災政策への転換を呼びかけている。昨年10月20日には堤防決壊で大きな被害を出した宮城県大郷町を視察。「矢板(鋼鉄版)を打ち込むなどの堤防強化をしてほしいと国交省や自民党などに要請したのに、実現しないうちに堤防が決壊してしまった」と話す田中学町長から聞き取りをした。
そして視察最後の囲み取材で枝野氏は、次のように訴えた。
「地域の声、地元の皆様が長年にわたって、どこがどう弱い、どういう時に災害が起きるのかということについてはいろいろな蓄積があるので、それをしっかりと受け止めた形で復旧・補強をしていなかいとならない。そういった意味での本の分権化。予算は国が出していかないとできないが、知恵やアイデアは地域の声を受け止めていくことが重要」
昨年11月21日の、高知県知事選の応援演説でも枝野氏はこう訴えていた。
「今年もこの秋、相次ぐ台風などの水害災害がありました。私も被災地何か所も回らせていただきました。水害の地域、ほとんど共通をして同じことを聞きました。大きな川に合流していく小さな支流のところで、ほとんどの水害が起きている。
そして地元で話を伺うと、『もう10年前から20年前から、いや30年前から』と地域によってはそんな声を聞きます。地元では『ここが危ないのだ。ここさえ補強してくれれば相当安心できるのだ』とずっと言って来た。
それなのになぜか(堤防強化などの河川整備が)残されてきた。何でこんなことが起きるのか。東京の方を向いて政治をやっているからです。地域の暮らしの声を聞いていないから、こんなことになるのです」
「ダム最優先・堤防強化二の次」の河川政策と決別をする「民意重視の分権型河川政策」は、野党共闘(選挙協力)の主要政策の一つになりうる。
「コンクリートから人へ」を掲げた民主党政権から2012年12月に政権奪取をした第2次安倍政権は「ダム最優先・堤防強化二の次」の河川政策を踏襲、「人からコンクリートへ」の土建政治も復活させた。
その象徴が、北村大臣発言で注目された石木ダム建設であり、国民の生命財産よりも自民党応援団の建設業界を重んじる“お友達優遇政治”の一つといえるのだ。1月20日招集予定の通常国会で、野党が旧態依然とした河川政策を徹底的に追及するのかが注目される。
取材・文/横田一