暖冬でも要注意。トラックドライバーが教える「積雪の季節に備えて、注意すべきアイスバーンの種類」

スタッドレスタイヤが生み出してしまう「ミラーバーン」

2.ミラーバーン  ベテランの雪道トラックドライバーら曰く、この圧雪アイスバーンよりも怖いのが、「ミラーバーン」だという。  「ミラーバーン」は、鏡のように雪がツルツルになっている路面のこと。  雪道では当然、ノーマルタイヤよりも溝の深いスタッドレスタイヤで走るクルマが増えるが、皮肉なことに、このスタッドレスタイヤが雪道の水分を吸い取りながら路面を踏み固めるため、ミラーバーンを発生させやすくしている。  またこのミラーバーンは、クルマの停止・発進時に発生する摩擦熱などによって解凍・凍結・研磨が繰り返されると起きるため、交差点付近にできやすいという特徴もある。  ゆえに、信号待ちから急発進などすれば、進入した交差点はもはやスケートリンクというより「ビリヤード台」。次々に玉突き事故を起こしかねない。

もっとも恐ろしい、無色透明な「ブラックアイスバーン」!

3.ブラックアイスバーン  さらにこのアイスバーンには、雪が降っていない地域の路面でも起こり得るケースがある。  中でも怖いのが、「ブラックアイスバーン」だ。  路面が濡れているだけのように見えるが、実は凍っているという状態。  気付きづらいため、気温が下がり、視界も悪くなる夜や早朝などは特にスピードを上げた運転は大変危険だ。  濡れた地面だと思って速度を落とさず突っ走れば、もはや現場は「ボーリング場」と化し、大規模な衝突事故の要因となる。  これらのアイスバーンは、先述した交差点だけでなく、橋の上や陸橋、トンネルの入り口、高層ビルの陰など、風通しが良く、地熱の影響を受けにくいところにも発生しやすい。  ベテランの雪道トラックドライバーらに聞いたところ、彼らはアイスバーンでスリップしても、下手にハンドル・ブレーキ操作はしないとのことだった。たとえスリップしても、落ち着いてそのまま何もせず突っ切れば、状況を回避できることを知っているからだ。  さらに「スリップ」でいうと、雪道を歩いた後の靴にも注意が必要になるという。  運転前、雪が溝などに入ったままの靴で運転すると、アクセルやブレーキを踏んだ際に滑ってペダルを踏み外す場合があるのだ。  暖冬で雪の少ない今冬。気を抜きやすいが、3月や4月に大雪が降ることもあるため、引き続きドライバーは注意して運転してほしい。 <取材・文・撮影/橋本愛喜>
フリーライター。元工場経営者、日本語教師。大型自動車一種免許取得後、トラックで200社以上のモノづくりの現場を訪問。ブルーカラーの労働環境問題、ジェンダー、災害対策、文化差異などを中心に執筆。各メディア出演や全国での講演活動も行う。著書に『トラックドライバーにも言わせて』(新潮新書) Twitterは@AikiHashimoto
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