新生「ローラ・アシュレイ」、2020年8月に再進出1号店
イオングループの事業撤退を受けた英国ローラ・アシュレイの動きは早かった。
英国ローラ・アシュレイ社はイオングループのローラ・アシュレイ事業撤退に先駆けて2018年2月に新会社「ローラアシュレイジャパンカンパニー合同会社」を設立。同年8月に大手総合商社「伊藤忠商事」がローラ・アシュレイの日本市場における独占輸入販売権及びマスターライセンス権を取得し、2019年8月には新たな日本版公式サイトを公開するなど、新体制による日本市場再構築に向けた準備を進めた。
今回のローラ・アシュレイ日本再出店は、大手アパレル「ワールド」のライフスタイル事業中間持株会社「ワールドライフスタイルクリエーション」が伊藤忠商事とサブライセンス契約を締結し事業展開するもので、2020年8月を目処に店舗を開設し「日本再出店」を果たすとしている。
展開企業は「イッツデモ」を運営――今後は「首都圏中心」か?
早くも決まったローラ・アシュレイの日本再出店だが、以前の顧客が手放しで喜べる内容という訳ではない。
かつてイオン傘下だった頃のローラ・アシュレイ・ジャパンの店舗は日本全国の百貨店、そしてイオンの大型ショッピングセンター、アウトレットモールなど北は北海道から南は九州まで全国隅々にまでに出店していた。その店舗数は、2018年の撤退発表直前でも国内108店、そして台湾6店、香港3店にも上る。
しかし、現在「ワールドライフスタイルクリエーション」が展開する「ITS’DEMO」(イッツデモ)の店舗は殆どが首都圏の都心部への出店で、西日本には大阪市に2店、神戸市と福岡市に1店ずつの5店舗のみ。ヒロコハヤシに至っては殆どが東京都内の大手百貨店への出店で、西日本の店舗は京都市の百貨店の1店のみだ。
新たに展開する企業は主に首都圏の駅チカで「ITS’DEMO」(イッツデモ)を展開。
首都圏以外での店舗展開はごく一部のみだ
ワールドライフスタイルクリエーションの親会社であるワールドの店舗は地方のショッピングセンターにまで広がっているものの、ワールドライフスタイルクリエーションはローラ・アシュレイの展開に際して「都心・大都市、都心近郊の百貨店」が出店候補だとしている。そのため、今後は首都圏での大手百貨店での展開が主になることが予想され、地方都市やショッピングセンターでの店舗展開は全くなされない可能性さえもある。また、初年度(2021年3月期)に7店舗、5年後(2025年3月期)に30店舗体制規模を目指すと表明しており、店舗数も以前には遠く及ばないものとなりそうだ。
しかし、ここでがっかりしないで欲しい。ワールドライフスタイルクリエーションはローラ・アシュレイについてネットショップでの展開もおこなうと表明しており、2020年8月の日本再出店に合わせて公式ECサイトも開設する予定だという。
約2年ぶりの復活となるローラ・アシュレイ。店舗は以前より減ってしまうことになりそうだが、今後の売れ行き次第では地方での展開や、また「ITS’DEMO」のような大型駅ビル、ワールドの店舗のようにショッピングセンターなどでの展開もなされる可能性もあり、数年後には再び全国各地にあのポップなデザインが花開く日が来るかも知れない。
<取材・文・撮影/淡川雄太(都市商業研究所)>
若手研究者で作る「商業」と「まちづくり」の研究団体『
都市商業研究所』。Webサイト「都商研ニュース」では、研究員の独自取材や各社のプレスリリースなどを基に、商業とまちづくりに興味がある人に対して「都市」と「商業」の動きを分かりやすく解説している。Twitterアカウントは「
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