「子どもは愛しい。でも離れたい」子育てに葛藤する女性たちに密着した映画が2月に公開
山のような家事、手のかかる子どものお世話で毎日バタバタ。夫は仕事で家を空けがちのため、妻がワンオペで子どもに向き合う。自分の時間など満足にとれるはずもない。
ママたちが直面する厳しい日常に密着した映画『ママをやめてもいいですか!?』が、2020年2月に公開される。
監督は、映画『うまれる』(2010)シリーズの豪田トモさん。「一人でも多くのママに笑顔で幸せな育児をしてもらい、一人でも多くの子供達が笑顔になるように」とのメッセージが込められている。果たしてどんな内容なのか?試写会に参加した筆者が、中身をちらっと紹介する。
「ウワーン!」「ギャアギャア!」静まりかえった夜の寝室に響く赤ちゃんの泣き声。ママたちは、眠い目をこすりながら赤ちゃんをあやしている。映画『ママをやめてもいいですか!?』は、そんなシーンからスタートする。
隣で寝ているパパは、いっこうに起きる気配がない。どんなに疲れていようが、夜泣き対応はママが一手に担う。これが毎日続けば睡眠不足になり、イライラするのは無理もない。
子育てでは往々にして思い通りにいかないことが多く、ママたちを疲れさせる。公園でちょっと目を離したすきに、子どもが大きな石をかじろうとする。自我が芽生え、何にでも反抗するイヤイヤ期の子どもを相手にすると、着替えや髪をとかすにも時間がかかる。
映画のタイトル『ママをやめてもいいですか!?』は、一見するとショッキングな単語だ。しかしいつも育児に追われているママたちは、こんな本音を抱いている。
「ママをやめたいと思ったことは、これまで幾度となくあります」
「子どもはかわいいです。愛しいんです。でも、離れたいんです。めちゃくちゃですよね」
我が子への愛情を持ちつつも、可愛いと思えなかったり、距離をおきたいと思ったりする。自分でもわからない感情に苦しむママたちの姿がある。
映画制作側が実施した調査では、なんと約8割のママが「ママをやめたいと思ったことがある」と答えている。そのうち12%のママは「毎日そう思っている」という。
現在3人目を妊娠中の女性は、過去2回の出産で、2度の産後うつを経験。女性は当時の心境を次のように振り返る。
「子どもを持つ前には、自分が子どもに対してネガティブな気持ちを抱くとは思いませんでした」
産前には「自分の子なら可愛いに決まっている」と思っていても、満足に睡眠を取れなかったり、家事や育児で余裕がない日々を送ったりしていると、子どもに対して「可愛くない…」との思いが頭をよぎってしまうことも。産後うつはママの10人に1人がかかると言われており、最悪の場合は虐待や自殺に発展するリスクがある。
お母さんたちをここまで苦しめる要因は何なのか。映画の撮影に協力したママたちは、
「お母さんになったら自分のすべてを捧げる。それが母親。そこまでの覚悟がありますか?と問われることが重荷」
「仮免とった状態(編注:子育ての十分な訓練も受けていないのに)で家にきて、赤ちゃんの命を守るのはプレッシャー」
と苦しい胸の内を明かしている。
本当は休みたい、もっと自分の時間がほしいと思っても「自分がママである」ことを理由に頑張り続けてしまうのだ。
8割が「ママをやめたいと思ったことがある」と回答
「ママだからこうすべき」というプレッシャーが苦しい
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