情報技術は人権を守るのか、抑圧するのか。ゲーム開発者視点で選ぶ、2019年10大ギークニュース

消費税上昇が続けば、その先にあるものは……?

◆ 10. 2019年10月1日 消費税率10%スタート  多くの国民の手取りが減っている中、その収入をさらに削る増税が実施された。個人的には「消費税が10%に上がったから、消費を10%抑えないといけない」と感じた。2%上がったから2%控えるのではなく、そうしたインパクトがあった。  しかし連日の報道を見ると、国の中枢に近い人ほど痛みは希薄で、「なぜ消費が低迷しているのだろう」と表明する発言がちらほらと見られた。  このまま消費税が上がっていくと、物々交換が進み始めるのではないかと感じている。金銭のやり取りを迂回して、仮想ポイントをもとに、労働やコンテンツや物品を交換する。そうした地下ポイントシステムの構築が、IT主導で進んで行くのではないかと思う。  また、同時にスタートしたキャッシュレス還元については、PayPayが一人勝ちしているように見えた。スーパーやコンビニなど、様々な場所でPayPayの名を見る。投資に見合うリターンを得ることができるのか、今後の展開が気になるところだ。

特定の企業の利益のために、国の未来が売られている

 10大ニュースとしたために選外になったニュースを以下に掲載しておく。 ◆ 11. 2019年2月1日 コンビニ24時間営業問題  セブンイレブン東大阪南上小阪店が、2月1日から営業時間を19時間に踏み切り、コンビニ本部と対立。セブン&アイ・ホールディングスは4月4日に社長が交代。コンビニ各社を巻き込む、24時間営業見直しについての問題が世間を賑わせた。  2019年には、経団連会長の「終身雇用を続けるのは難しい」発言などもあり、これまでの雇用や業態の崩壊が強く印象づけられた。その後退に追い打ちを掛けるように、10月には消費税の増税もおこなわれている。  また今年はセブンイレブンが、セブンペイで大きな失敗をして、新しい社会に適応できていない様子を見せつけてくれた。これまでの企業のあり方を解体して、システムを再構築しなければ生き残れない時期が来ている。 ◆ 12. 2019年11月1日 大学入試共通テスト~英語民間試験の延期  教育への投資をしなければ、国は人材の供給が絶たれる。その未来の芽を、経済格差を基準にして摘もうとする発言や政策は、現役高校生を含めて多くの人よって糾弾された。  一連の報道を見ていて辛いのは、特定の企業の利益のために、国の未来が売られていることだ。これらは、派遣社員が増大した問題と地続きになっていると感じる。国の腎臓や肝臓をこっそりと売り続ければ、そのうち死んでしまう。  教育なしに国の未来は作れない。一部の人間の利益のために、国の未来を安売りしないで欲しい。 <文/柳井政和>
やない まさかず。クロノス・クラウン合同会社の代表社員。ゲームやアプリの開発、プログラミング系技術書や記事、マンガの執筆をおこなう。2001年オンラインソフト大賞に入賞した『めもりーくりーなー』は、累計500万ダウンロード以上。2016年、第23回松本清張賞応募作『バックドア』が最終候補となり、改題した『裏切りのプログラム ハッカー探偵 鹿敷堂桂馬』にて文藝春秋から小説家デビュー。近著は新潮社『レトロゲームファクトリー』。2019年12月に Nintendo Switch で、個人で開発した『Little Bit War(リトルビットウォー)』を出した。2021年2月には、SBクリエイティブから『JavaScript[完全]入門』、4月にはエムディエヌコーポレーションから『プロフェッショナルWebプログラミング JavaScript』が出版された。
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