男性の介護離職が増加傾向。約1割の企業で介護離職者が発生

今後、増加が見込まれる介護離職

介護離職 「介護離職」という言葉を聞いたことがあるだろうか。働く人が、親族などの介護を理由に勤務先を退職することである。高齢化が進む中で、要介護認定者数も増加している。今後、団塊の世代が70代に突入することに伴い、ますます認定者数が増える見込みだ。  一方で、介護人材の不足は深刻である。このような状況下で、介護離職者の数もますます増えていくと思われる。企業がこれについてどう認識しているのか、またいかなる措置をとっているなのか、気になるところである。  東京商工リサーチ(TSR)が全国の企業を対象に実施した「介護離職」に関するアンケート調査(有効回答6545社)を元に、考えていきたい。(2019年9月12日~27日にインターネットによるアンケート調査を実施)

企業の1割で介護離職者が発生

「過去1年間(2018年9月~2019年8月)に介護を理由とした離職者が発生しましたか?」と質問したところ、「ある」が666社(10.1%)、「ない」が5495社(83.9%)となった。既に、企業の1割で介護離職者が発生しているようだ。  介護離職者の男女比について見ると、「男性の方が多い」が301社(51.28%)、「女性の方が多い」が231社(39.35%)で、男性が女性をおよそ11.9%上回った。  これは意外な結果である。総務省の2017年就業構造基本調査では、「介護・看護のために過去1年間で前職を離職した人」の数は、男性が2万4000人で、女性が7万5100人と、女性の方が圧倒的に多いからだ。  しかしながら、前回調査の2012年に比べると、男性の離職者が4100人増加している一方、女性は6100人減少している。徐々に、男性の間にも介護離職が広がっているようだ。
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介護離職ふせぐ取り組み「特になし」3割
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