自民党(離党済み)の秋元議員の贈収賄逮捕で、パチンコ業界がIR業界以上に落胆してしまったワケ

苦境のパチンコ業界の期待を受けていたが……

 IR法案の成立と時を同じくして、ギャンブル依存症問題がクローズアップされ、パチンコを含める、ギャンブル等依存症対策が国策として積極的に推進されるなか、パチンコ業界は、遊技機の射幸性の大幅な抑制や、ホール内における依存対策実施等のため、かなりの苦境に立たされており、特に新しい遊技機規則に則った新基準機の速やかな導入に際しては、射幸性と依存症の因果関係が不明瞭であるという問題も含め、依存症対策を推進したい警察行政側と議論の対立軸が多く生まれていた。  この問題について対応していたのが、「風営法議連」であり、その窓口が秋元議員であったのだ。ちなみに「風営法議連」では2019年4月に、同問題に対する提言を採択している。  設置されているすべての遊技機を2021年1月末までに新規則機に入れ替えなくてはならないパチンコ業界は、いまだ数多の問題を抱えており、政治の力に期待するところも小さくなかった。しかし今回の秋元議員の逮捕・離党によって、パチンコ業界にとっての「政治力」は限りなく制限されてしまった。議員連盟には、秋元議員の他にもパチンコ業界に詳しい議員もいるが、IRやパチンコに対するアンチテーゼが吹き荒れる報道や世論の動向を見る限り、その腰は重いだろう。

「パチンコバッシングに繋がるかも」と落胆する業界関係者

 或るパチンコホール経営者は言う。 「秋元先生の逮捕は業界にとって大きなマイナス。報道などでは、秋元先生に対する献金問題などが取り上げられるかも知れないが、それは合法的なものであり、特に問題はないと思っているが、報道のされ方によっては世論のパチンコバッシングに繋がるかも知れない。何よりも、今回の件によって、また政治家との距離が生まれてしまった。議連の活動には多少ならず期待していたのに残念だ」  秋元議員の逮捕がもたらした衝撃の余波は、IR事業者たちよりも、パチンコ業界関係者たちを更なる苦境に追い込んでいるのかも知れない。 <文/安達夕>
Twitter:@yuu_adachi
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