果たしてアンティークと呼べるのかどうかというものも並んでいる
悪徳業者の場合(盗品を持っている時点で悪徳だが)、無知な人に売り、裏で警察に通報する。話を聞いた店主によれば、盗品と認定されているということは警察や芸術局などになんらかの書類や画像があるので、逮捕できるという。
そして、盗品を扱えるということは、その悪徳業者はなんらかのコネクションを持っているので捜査の手は及ばない上、その盗品はまたその店に戻ってくる可能性が高い。そういった危険性が、タイの「本物」のアンティークにはあるのだという。
歴史的価値のある仏像などを国外に持ち出した場合の刑罰が見当たらないので、別の法律が適用される可能性がある。特に盗品だと、窃盗でもなんでも、適用できる法はいくらでもあるだろう。たとえば、文化遺産をタイ国内で不法に占有したり、盗む、破壊するなどすると最大で禁固10年、罰金100万バーツ(約350万円)という刑罰があるので、万が一盗品を掴まされた場合、これに相当する刑罰があると見られる。
研究者など確たる目利きができ、かつ博物館を経営するなどのよほどのことがない限り、モール内は見学する程度で手を出さない方が無難だ。値段も高いというのもあるが、案外、タイ人はそういう「危ない人」を見分ける能力が高いので、だからこそ、ほとんどのタイ人もモール内には行かず、ガラクタ市場を散策して楽しんでいるのかもしれない。
この市場ならアユタヤ時代のプラクルアンを数百円で購入できる
<取材・文・撮影/高田胤臣>