ホーチミンのエアポートバス。導入されて日が浅いので、バスもまだきれいだ
東南アジアは国の玄関として機能する空港で、その厳しさの洗礼を受けることになる。市街地までの交通手段がタクシーしかない場合、ボッタクリに遭遇する可能性が高いのだ。ベトナムもまた同じだ。
ベトナムのタクシーはとにかくボッタクリが多い。ガイドブックを開いても、国内の大手3社以外は乗ってはいけない、と書かれているし、それが実際に事実である。しかも厄介なことに、その大手3社でさえ、稀にボッタクリが起こる。そのため、ベトナム人のほとんどは今、路上で手を挙げてタクシーを停めることがない。
「Grab」などの配車アプリを利用するようになったからだ。
空港から市街地へ行くタクシーはとにかくひどいものが多い。初めての訪越だと相場もわからないからと法外な料金を告げてくる。また、ベトナムでは空港内を通過するタクシーに通行料のようなものを空港は課しているようだが、それをいいことにまたとんでもない料金を乗客に請求する。本来なら1万ドン程度(約55円)にも関わらず、日本円で数千円を言ってくることもある。
怖いのは、タクシーを人気のない場所に停めて、あらかじめ待機していた仲間たちと脅して高額の料金を支払わせるケースだ。筆者の友人も何人か南部のホーチミンでその被害に遭っている。筆者の体感的には昔からホーチミンの空港の方が北部のハノイの空港よりもタクシーのボッタクリ率が高い。
ベトナムは比較的治安がよく、ベトナム人気質は少なくともタイ人よりも温厚だ。また、タイと違い銃社会ではないので、危険な武器を持った犯罪者はあまり多くないような気がする。とはいえ、初めてのベトナムでローカルの強面たちに囲まれて凄まれれば、普通の人なら怖くなってしまう。
では、今、ベトナム旅行で空港から安全に市街地に行くにはどうすればいいのか。配車アプリを事前に入手して車を呼ぶか、もっといい方法は
公共の交通機関のエアポートバスを利用することである。
ハノイの空港「ノイバイ空港」からハノイ市街地まではおよそ25キロほどになる。タクシーでも40分前後はかかる。ホーチミンの「タンソンニャット空港」は、大きな街とはいえ地方都市のため、空港自体はほぼ市中にある。それでも外国人が多い1区と呼ばれるエリアへはおよそ8キロほど離れている。
市街地からタクシーで空港に向かうと、ハノイは15ドル前後(約1650円)、ホーチミンは8ドル前後(約880円)かかる。キロ単価はホーチミンの方が割高だが、これはあくまでも標準レベルの金額だ。
これらを最も安く済ませる方法が、公共のエアポートバスだ。2016年ごろに登場し、ベトナム旅行が俄然しやすくなった。あくまでも主要都市の話で、地方の空港はまだエアポートバスが導入されていないことがほとんどだ。とはいえ、ベトナムの田舎は人の気質がいいので、ボッタクリは案外少なかったりもする。