恐妻家やフェミニストなのに家庭ではモラ夫……が、専門家にすれば珍しくない理由<モラ夫バスターな日々41>

自身を恐妻家のように偽装するモラ夫もいる

 以上、世間に対しては、自分を弱い男、優しい男に偽装するのは、モラ夫によくある戦略である。木下医師の騒動で、「恐妻家の木下医師が実はモラ夫だった」と驚かれているようだが、実は全く驚くべきことではない。  他方、亭主関白を全く隠さず、逆にそれが「男らしい」と思い込んでいるオラオラ系のモラ夫もいる。このタイプは、妻側弁護士から面談を申し入れても、応じることは少ない。家裁で初めて会うと、挨拶も返さず、裁判のあいだ、妻側弁護士を睨み続けたりする。このタイプは、妻にもガンを飛ばし、自らモラ夫であることを隠さない。  法律相談では、モラハラの証拠を集める方法を聞かれることが多い。録音、日記、心療内科の診断書やカルテ、親族、友人に相談した各種通信記録、モラ夫とのLINEなどが証拠となり得る。  しかし、恐妻家やオシドリ夫婦の偽装を見破るのは難しいことではない。もとが偽装なので、法廷尋問を工夫すれば法廷でその正体がバレる。そして、バレバレに気付いていないのは本人だけということも多い。    オラオラ系であれば、法廷に入った時から、妻側弁護士にまで、ガンつけて威圧しようとする。モラ夫バスター4コマ漫画の「モ印」がおでこについているも同然である。偽装恐妻家も、煽てられれば、法廷で、自慢げに妻をディスり続け馬脚を露わす。 そして、離婚弁護士たちは言う。「モラハラの最大の証拠はモラ夫自身」と。

モラ夫は国を滅ぼす

 モラハラ、モラ夫の概念が定着し、モラハラに関する報道も増えてきた。私は、以前から、日本の男性の8割がモラ男と推測している。2019年、日本の男女平等の世界ランキングは、153ヶ国中121位であった(参考)。  「女尊男卑」「男性差別」などと無反省、無自覚なモラ男が大量発生し、モラハラが蔓延る日本の現状は、ランキングにも現れている。  ところで、韓国では、特殊合計出生率(女性1人が生涯に産む子どもの数)が0人台となった(参考)。  儒教文化を基礎とする強烈な男尊女卑が結婚を不幸なものとし、出生率が下がっているのだ。これは、まさに、日本でも起きていることでもある。  モラ文化を撲滅しないと、日本は滅びる。 <文/大貫憲介 漫画/榎本まみ>
弁護士、東京第二弁護士会所属。92年、さつき法律事務所を設立。離婚、相続、ハーグ条約、入管/ビザ、外国人案件等などを主に扱う。コロナによる意識の変化を活動に取り込み、リモート相談、リモート交渉等を積極的に展開している。著書に『入管実務マニュアル』(現代人文社)、『国際結婚マニュアルQ&A』(海風書房)、『アフガニスタンから来たモハメッド君のおはなし~モハメッド君を助けよう~』(つげ書房)。ツイッター(@SatsukiLaw)にてモラ夫の実態を公開中
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