競技場建設をはじめ、多くの特需を生んだオリンピック開催。しかし、過去を振り返れば、その反動から“後遺症”に苦しんだ国も少なくない
自国開催が決定して以来、憂慮され続けてきたオリンピック後の日本経済の行方はいかに? 市場動向に精通する16人の専門家に波乱含みの新年相場の見通しと’20年要注目銘柄を聞いた!
来る五輪イヤーをどう読み解くのか? 投資の賢人16人が徹底分析した
東京五輪後の景気後退への懸念が広がる一方、日経平均に目を向ければ年初から約20%の上昇を果たした’19年。きたる’20年への期待感は専門家の間でも大きく分かれた。
「11月のアメリカ大統領選挙に向けて
日米ともに株価は上昇期待がある」と語るのはメディアストラの
天野秀夫氏。証券ジャパンの
大谷正之氏も「’20年は景気回復や円安に伴い、
本格的な業績相場に移行すると見ています」と見通しはポジティブ。
これに対して、株式アナリストの
黒岩泰氏は「足元の相場はしっかりしているが、
ブレグジットの悪影響はかなり大きいのではないか」、株式ジャーナリストの
田北知見氏は「米中関係や日韓関係、中国など
新興国の景気減速が影響する恐れもあるので注視し、投資は慎重に行いたいところ」と、それぞれ懸案事項を指摘した。
今回、「
’19年の終値を’20年の終値は超えるか?」との設問に対して
16人中8人が「はい」と回答。向こう1年を見据えた景況感は完全に二分する結果となった。さらに
’20年の日経平均の高値と安値を予想してもらったところ、
高値平均が2万5678円、安値平均が2万353円に。’20年も日経平均が2万円を割ることなく乗り切ることができるのか、ひとつの重要な目安となりそうだ。
「不景気の株高」は’20年も変わらない!?
もっとも’19年後半からの株価高騰については懐疑的な見方もある。「『
不景気の株高』をこれでもかと見せつけた’19年でしたが、
’20年も大して変わらないでしょう」と見るのはアナリストの
岡村友哉氏。
「日銀のETF買いが6兆円、自社株買いも8兆円規模になり、それにぶつける海外勢の売りが’18年並みに出てこない限り、大きく崩れない日経平均。ただ、不幸なのが
真面目に日本株を高いと感じてポジションをとる個人投資家が、日経平均が上がれば上がるほど損してしまうこと。不可解な株高が続けば続くほど投資家のシラケムードが高まることが残念です」