数十万円の元手を6年で5億にした男が語る、銘柄選びのキモ

上昇銘柄トップ10の“理由”を調べて変化を知る

 では、今はどんな社会変化に目をつけているのだろうか? 「注目しているのは『省力化』の流れ。飲食業界では注文用のタブレット端末を取り入れる店舗が増えていますが、牛丼の自動販売機を導入した松屋のようなユニークな事例もある。この省力化による経費削減に加えて、9月の日米貿易交渉で牛肉の関税が現行の38.5%から段階的に9%まで引き下げられる予定です。これらを追い風にできる銘柄が『いきなり!ステーキ』を展開するペッパーフードサービス(東1・3053)だと見ています」  しかし、ペッパーは上場来初となる赤字決算を発表したばかり。株価はここ1年下げっぱなしだ。 「今後、出店計画の見直しや不採算店舗の閉鎖など事業の見直しを行っていくと予想しています。急成長と成長鈍化、事業計画の見直しはどんな会社も経験するサイクル。省力化や関税引き下げを追い風にできれば、底値買いのチャンスになると考えています」  省力化の流れで、AIに関連する銘柄にも注目しているという。 「投資家御用達のサイト『みんかぶ』を運営するミンカブ・ジ・インフォノイド(東マ・4436)も面白い。決算発表などの速報記事をAIで自動化しているため、情報の更新が非常に速い。私自身も活用しています。一方で、ネット広告のログリー(東マ・6579)は、ターゲティング広告に使われるCookie(一時的に保存されるユーザー情報)の収集に対する規制強化が検討されるなか、Cookieを使わずに広告を配信する特許技術を有する。個人情報保護を重視する社会変化のなかで注目している銘柄です」  こうした社会変化を見極めるためには、日々の情報収集は欠かせない。’11年から投資を始めた響煇氏は当初、毎日数時間かけて日経新聞を隅から隅まで読み込んだ。変化が起きた理由を正確に認識することが重要だという。 「株式投資なら『今年の上昇銘柄トップ10』などのチャートを見ながら、『なぜ上がったのか、下がったのか』と照らし合わせる。どんな材料が持続的な株価の上昇をもたらすのかを読み解く訓練になるし、『IRで窓を開けて上昇して戻らない銘柄は強い』といった法則にも気づくでしょう」  賢人直伝の法則とトレーニング、ぜひ導入を!

響煇嚆矢氏が注目する3銘柄

時代の変化に対応する企業を狙い打て! *株価は12月末時点のもの 「いきなり!ステーキ」失速中、赤字転落でも底入れ気配!? 「いきなり!」不振で業績下方修正でも“追い風”材料あり? ●ペッパーフードサービス 東証1部・3053 株価 1259円 売買単位 100株 PER ―倍 PBR 21.22倍 配当利回り1.19% ’19年1~9月期は19億円の最終赤字に転落し、通期予想を大幅下方修正。大量出店で自社店舗同士の食い合いが生じたことで、全店舗の1割弱の退店を決定。ただし、省力化と牛肉関税の引き下げの追い風材料もあり、徐々に底打ち気配が強まると予想 記事の自動作成システムが高評価 投資家御用達「みんかぶ」好調、決算速報記事の自動作成で投資家の注目&業績UPへ ●ミンカブ・ジ・インフォノイド 東証マザーズ・4436 株価 1225円 売買単位 100株 PER 42.97倍 PBR 5.73倍 配当利回り0% ’20年3月期2Qの業績は営業利益で前年同期比86%増を達成。通期業績は売上高が23%増、営業利益が55%増と予想。記事の自動作成などが奏功して、主力メディア「みんなの株式」や「Kabutan」などのサイトのユーザー数は右肩上がり。利益率も向上中 特許取得の独自広告技術で注目 規制強化に対応済み? ターゲティング広告の特許技術が大きな買い材料に ●ログリー 東証マザーズ・6579 株価 1986円 売買単位 100株 PER 142.37倍 PBR 3.01倍 配当利回り0% 11月に’20年3月期予想を下方修正。広告プラットフォームにおけるクリック率が予想を下回って推移していることが原因。ただし、Cookie規制強化が検討されるなかで、Cookieを使用せずにユーザー属性を推定する独自技術を持つだけに、業績回復期待は高い 【響煇嚆矢氏】 資産6億円 ●主な投資手法 スウィングトレード、優待・配当取り ●主な投資先 国内成長株、大型株など ●’19年の戦績 +1億円(20%増)予想 投資歴/8年 専業投資家。会社員時代の’11年に数十万円の元手で株式投資を開始。島田紳助氏の『自己プロデュース力』(ワニブックス)に感銘を受けて投資に生かし、信用取引も駆使した小型成長株への投資で5 億円の資産を築く。マクロ分析にも長けた本格派。マクロ分析や日々のトレード成績はブログ「Be a pioneer」やツイッター で公開中
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