コーチング理論書やビジネススキル本をいくら読んでもスキルが上がらないのはなぜなのか?

たった2時間でコーチングができるように

 このコアスキル、プレゼンテーションスキルでは、相手を何秒見つめ続けてプレゼンするかという、アイコンタクトの長さだ。トップダウンの指示・命令ではなく、コーチングによる巻き込み型のリーダーシップを発揮するためのコアスキルは、質問のスキルだ。それも、詳しくは別の機会にゆずるが、5つの質問さえできるようになれば、コーチングが発揮できるようになる。  ここで紹介したコアスキルは、理屈ではない。理屈の説明を一切せず、頭ではわかっていなくても、15分程度の数回の反復演習でアイコンタクトの長さをコントロールできるようになり、2時間集中的に演習を繰り返せば、相当程度、プレゼンテーション表現力が高まる。同じく15分程度で質問のスキルを発揮できるようになり、2時間の反復演習でコーチングが実際に発揮できるようになる。  この方法は、過去20年来の私の演習プログラム参加者が、スキルを修得し、実践の場面でスキル発揮できるようになった方法だ。むしろ理屈は無用で無力なのだ。

アクティブリスニングを学ぶには、まず話しやすい場づくりを

質問:コーチングが実践できない  一方的な面談にならないようにするために、コーチングが役に立つと言われ、コーチング理論の書籍を読んだり、コーチング研修に参加したりしました。しかし理論や理屈はわかったように思いますが、実際に実践する方法の見当がつきません。  例えば、アクティブリスニング(傾聴)をすることが大事だと多くの書籍に書かれています。そもそもアクティブリスニングをするためには、相手に話してもらわなければならないわけですが、相手が話すという状態になりません。どうしたらよいのでしょうか? 回答:コアスキルを発揮する  上司が部下に対して、改善点を指摘するだけで、一方的に話している面談では、そもそも相手が話していないのでアクティブリスニングを実行することができません。  アクティブリスニングをするためには、相手に話してもらうためのスキルを発揮する、相手に話してもらうスキルを発揮するためには、相手が話しやすい場づくりをするスキルを発揮する…… というように、実践するために必要なスキルを分解していって、コアになるスキルを発揮するようになる必要があります。 【山口博[連載コラム・分解スキル・反復演習が人生を変える]第168回】
(やまぐち・ひろし) モチベーションファクター株式会社代表取締役。国内外企業の人材開発・人事部長歴任後、PwC/KPMGコンサルティング各ディレクターを経て、現職。近著に『チームを動かすファシリテーションのドリル』(扶桑社新書)、『クライアントを惹き付けるモチベーションファクター・トレーニング』(きんざい)、『99%の人が気づいていないビジネス力アップの基本100』(講談社+α新書)、『ビジネススキル急上昇日めくりドリル』(扶桑社)がある
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