慰謝料も払わず「離婚後もたまにデートしような」……。往生際の悪いモラ夫たち<モラ夫バスター40>

8割の被害妻は、モラ夫を恐れて満足な慰謝料を請求しない

 家裁で離婚するとモラ夫たちは、お金を払わされる側になる。そのため、呪いを乗り越えた妻が離婚を要求すると、モラ夫は、それを潰しにかかる。  怒りや大きな声でけん制して、離婚を諦めさせようとする。それが無理とわかると、自分のお金の守りに入る。「(俺こそ)、この結婚の被害者」「(家事育児放棄などを理由に)慰謝料請求するぞ」などと屁理屈を総動員して、妻を威嚇する。   モラハラの海に溺れかかっている妻は、抵抗する力も殆んど残っていないが、力を振り絞って財産分与、慰謝料などを請求すると、モラ夫は「とことん闘うか」「俺は優秀な弁護士を知っているぞ」などと妻を押し潰す。  被害妻の多くは、モラ夫を怒らせないようにすることが身に染みているので、結局、お金を請求せずに縁を切ろうとする。怒らせず円満に離婚すれば、確実に縁が切れると期待するのである。その結果、十分な経済条件なしでの協議離婚が、離婚総数の約8割近くを占めることになる。  ところが離婚弁護の経験からは、しっかりお金を取ったほうが後腐れの可能性が大きく減る。  多くのモラ夫たちは金銭欲が強いので、お金を払わせて痛みを学習すると、元妻に容易には近づかなくなる。ところが、上述のように、別れ際までモラ夫に気を使って、請求するべきものを請求しないでいると、モラ夫に足元を見られる。  そして離婚しても、モラ夫は「成仏」できない。離婚後も、依然として亭主ヅラで、 「(離婚後も)、たまに食事したり、デートしような」  などと宣う。離婚したこと自体を理解していないのである。

モラ夫バスターな日々

 私は日々、こんなモラ夫たちと対峙している。私が電話した冒頭の夫は、一日も早い面談を要求しつつ、「平日は仕事なので週末が良い」「週末の午後、俺の最寄り駅で面談しよう」などと平然と自分勝手を言う。  面談では、私はなるべく聞き役に徹する。初回の面談では、離婚条件を示さない。それでも問われれば、婚姻費用(婚姻費用)とは離婚成立までの生活費のこと₎の清算、財産分与、慰謝料、養育費等の相場を説明する。  モラ夫は、妻側の弁護士には何を言っていいと勘違いしているので、離婚条件を話すと平然と、「お前は、金か」などと失礼なことを言う。私はひるまず、「いえ、私は弁護士です」と返すことにしている。  こうして、私のモラ夫バスターな日々が過ぎていく。 <文/大貫憲介 漫画/榎本まみ>
弁護士、東京第二弁護士会所属。92年、さつき法律事務所を設立。離婚、相続、ハーグ条約、入管/ビザ、外国人案件等などを主に扱う。コロナによる意識の変化を活動に取り込み、リモート相談、リモート交渉等を積極的に展開している。著書に『入管実務マニュアル』(現代人文社)、『国際結婚マニュアルQ&A』(海風書房)、『アフガニスタンから来たモハメッド君のおはなし~モハメッド君を助けよう~』(つげ書房)。ツイッター(@SatsukiLaw)にてモラ夫の実態を公開中
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