入管により3年以上引き離され続ける母と娘。果たして、ここまでやる必要があるのか

エメリータさん

エメリータさん(本人提供)

日本人なら罰金刑でも、外国人なら在留資格があっても収容か強制送還

 フィリピン国籍のエメリータさんは、今年11月30日で3年を超える収容となる。  彼女は痩せこけ骨と皮のみとなっていて、51キロあった体重は35キロまで落ちてしまうという危険な状態に陥っていた。  エメリータさんは当初、日本で在留資格を持っていたが、ある事件がきっかけで資格を失う事になってしまう。  フィリピンパブで働いていた彼女は、日本人経営者で友人である彼にパブのママになるよう勧められる。昇格した彼女は、経営者の言われるままに、事務仕事なども含め、スタッフをまとめることになっていた。他人名義の通帳を使うことも経営者の勧めであった。身内と経営者の通帳なので、当人たちの許可は得ていることでエメリータさん本人は、特に悪用するような意思などみじんもなかったと言う。  のちのち、その些細な事が風営法に引っかかり、経営者とともに警察に連れて行かれてしまったとエメリータさんは説明する。 「私、日本の法律わからない。それが悪いことなんて知らなかった!」  必死に弁明したが結局、拘置所に2か月、刑務所で1年半も過ごすことになった。やっと仮釈放になったと思ったら、刑務所の前で入管職員が待ち構えていて、そのまま東京入管に収容され、更に3年の月日が過ぎた。 「そんなに悪いことだったの?それでも罪は償ったはず。なのに、何故……」  彼女は、理解できない境遇に苦しめられていた。  一緒に捕まった経営者といえば、日本人なので、とうに出所して外で暮らしているらしい。

カメラ付きの独房でトイレも着替えも見張られたままという屈辱

 入管にどんなに帰国を迫られても、彼女には日本人の夫と、日本国籍の娘と息子がいる。どうしたって帰ることはできない。  彼女は4ヵ月食事をまともにとっていない。最初は長期収容に対する抗議のつもりでハンガーストライキを始めた。彼女は、職員たちに監視カメラ付きの狭い独房に閉じ込められ、トイレも着替えも見張られている屈辱的な状態でしばらく過ごすことになった  それでもハンストを頑なに続けていくうちに、本当に食べられなくなってしまい、何かを口に入れても吐いてしまう拒食症のような症状になってしまった。2週間に1度は点滴を受けなければ危険な状態となってしまった、
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入院しても入院先も病名も教えない東京入管
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