「.org」を利用している団体が、こぞって売却に反対する表明。「Save.ORG」というサイトを立ち上げた
ドメイン、
「.org」についてもめ事が発生している。「.org」は、「.com」などと同じ、インターネットの、
gTLD(ジェネリック トップ レベル ドメイン)だ。
インターネット上の住所は、「mail.google.com」のようなドメイン名で表される。「com」が最も大きな分類で
トップ レベル ドメインと呼ばれる。以下「google」「mail」と、左にいくほど小分類になる。
このトップ レベル ドメインには、いくつか種類がある。日本でよく見る「.jp」は、
ccTLD(国別コード トップ レベル ドメイン)と呼ばれるものだ。「.org」や「.com」は、gTLD(ジェネリック トップ レベル ドメイン)と呼ばれる。
その中でも「.org」は、
非営利団体などで利用されることが多い。代表的な「.org」ドメインには
「wikipedia.org」や「mozilla.org」がある。
この「.org」ドメインの周囲で、現在大きな炎上が起きている。最初の火種は今年の6月末、
「.org」ドメインの価格上限を撤廃する決定がなされたことだ。
賛成は6件、反対は3000件。それにも関わらず、この話は通ってしまった(
GIGAZINE)。
この要請をおこなったのは、「.org」の管理をおこなっている
PIR(Public Interest Registry)という企業だ。この PIR を、11月の下旬に、
投資ファンドの Ethos Capital が買収した(
The Verge)。
「上限を撤廃」した直後に「投資ファンドが買収」したのだ。そこに
何かの思惑があったとしてもおかしくない。
いや、
実際に疑いがあるのだ。少なくとも、多くの人が「思惑がある」と考えている。その理由を、gTLD の歴史をたどりながら、少し解説しようと思う。
インターネットの「場所」は、ドメイン名によって示される。その中でも gTLD(ジェネリック トップ レベル ドメイン)は、中心的な役目を果たしている。
この gTLD が策定されたのは
1984年。「commercial」(商業)をあらわす「.com」、「education」(教育)をあらわす「.edu」、「government」(政府)をあらわす「.gov」、「military」(軍事)をあらわす「.mil」、「organization」(組織、団体)をあらわす「.org」。1985年の運用開始時には、この5つに「.net」が加えられた(
IANA)。
その後、大きな変化が起きたのは、
1998年の
ICANN(The Internet Corporation for Assigned Names and Numbers)の設立以降だ。ICANN は、ドメイン名やIPアドレスなどを調整する民間の非営利法人だ(
JPNIC)。
2001年には、「.biz」「.info」「.name」などのいくつかの gTLD が追加された。また、「.museum」などの
sTLD(スポンサード トップ レベル ドメイン)も作られた。
2005年には、「.mobi」「.jobs」「.tel」など、sTLD の数が増えた。2011年には、「.xxx」というアダルト向けの sTLD も加わった。そして2012年からは、gTLD の自由化が始まり、多くの gTLD が追加された(
JPNIC)。