ウザい上司と財布への負担だけじゃない。「#忘年会スルー」に見る職場コミュニケーションの変化

 残り数週間で2019年も終わろうとしている。この時期になると、1年間の慰労や、社内でのコミュニケーションを目的とした忘年会を開催する会社が多い。

SNSに溢れる忘年会への不満

パーティの様子

photo via Pexels

 そんな中、最近、Twitterでトレンドに入っている言葉で「#忘年会スルー」というものがあるのをご存知だろうか。さまざまなメディアで取り上げられており、知っている人も多いかもしれない。  これは、会社の忘年会に参加する意義を見出せない人々が、Twitter上で「時間の無駄」「お金の無駄」「ストレスがある」など忘年会に関する愚痴を書いて最後に「#忘年会スルー」というハッシュタグをつけて投稿するものだ。  例えば、以下のようなものがあった。  上司に「俺の酒が飲めないのか!?」と、酒を強要された    セクハラな話をされた    家に帰って自分の時間を大切にしたい    忘年会はつまらなくて、役に立たないのに自腹  以前までは、忘年会への参加は義務だったり、義務と明言しないまでも参加を義務づける雰囲気があったが、SNSで発散されているこのような潜在的な不満から、忘年会の参加率はどんどん下がっているだろう。

日頃のストレスの表れ

 また、このハッシュタグがトレンド化していることで、悪い意味で日本人に効果的な群衆心理の「みんなが言ってる」が働いて、今年だけでなく来年以降からの忘年会の参加率も下がっていくだろう。「忘年会に参加するのはダサい」という風潮も生まれてくることも考えられる。  SNSで飛び交う声だけみると、部下のほうが概ね被害者なのがよくわかるが、「#忘年会スルー」されるに至った原因は「上司だけ」の問題でもないのかもしれない。  上司の酒癖が悪かったりするのは言語道断だが、その背景には「働き方改革」など現場無視で上から押し付けられただけで増え続け複雑化する社内規定などによって、抑圧された上司の不満が爆発してなんてこともあるのかもしれない。  そうなると、1年間の慰労というより、1年間の不満の吐口になってしまうのも致し方なく、より一層誰も行きたくなくなるだろう。
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一方通行な上司の指示が忘年会にも表れる
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