一方、意味がある、効果を実感していると上司や部下に思われているOne on Oneでは、ダメ出しがほとんどされていない。その代わり、
上司が質問し、部下が答えるパターンが多い。上司が一方的にダメ出しする代わりに、ダメだった点があったかどうか、あったとすればどんな点か、上司が部下に聞いているのだ。
このように申し上げると、「ダメだった点を上司が部下に聞くなんて、上司が部下の状況を把握していないという最もダメな上司のケースではないか」「上司の威厳を損なう行為だ」というような疑問をもつ人がいる。
上司が部下の状況を把握していないから聞いているのではないのだ。もちろん、上司は、部下の状況を日ごろの観察や、業績数値のレポートなどで把握している。しかしそれを鵜呑みにしたり、固定観念を持ったりしないで、部下本人の口から生の声を聞くことに意味がある。
それにより、上司は、部下の思いを尊重している、部下がどのように捉えているかという
部下の認識を大事に考えているというメッセージを部下に伝えることができるのだ。そのことが部下のモチベーションを向上させる。
部下や後輩のモチベーションを上げ成果を上げるOne on Oneの秘訣は、
決してダメ出しせず、上司や先輩が部下や後輩に状況を聞くことにある。
質問:ダメ出しは必要不可欠ではないか
ダメ出しオンパレードの面談になると雰囲気が暗くなるといっても、そもそも目標設定面談は、前期の改善点を見極めて、今期に反映させるものです。業績管理面談は、今期の業績のダメなところを指摘して来期に改善するためのものなので、仮に雰囲気が暗くなったとしても、ダメ出しをすることは必要不可欠なことなのではないでしょうか?
回答:ダメ出しはパフォーマンスを低下させる
改善点を見極めることが目的であることは、まったくそのとおりだと思います。ただし、ダメ出しオンパレードで「ここがダメだ」「そこがダメだ」と改善点を一方的に指摘してしまうと、暗い雰囲気になり、相手のモチベーションを低下させ、ひいてはパフォーマンスが上がらなくなってしまうのです。
実施している様子を拝見しますと、上司が話しているだけだったり、改善点を指摘するだけだったりして、相手に話させなかったりする面談が実に多いのです。
期始の目標設定面談でも、期中の進捗確認面談でも、期末の業績確認面談でも、上司と部下とでそれまでの取り組みについての改善点を、しっかりと共通認識として持つことが大切です。そのためには、一方的な改善点の指摘では、限界があるのです。
【山口博[連載コラム・分解スキル・反復演習が人生を変える]第167回】