世界のセレブリティから支持されるグレタさん、COP25会場のスペインに無事到着

3人のセレブリティに共通するのは? 行動は行動を呼ぶ

 ところで、上に登場した3人のセレブリティたち、すなわち、リベラ大臣、ディカプリオ、シュワルツェネッガーには、ある重要な共通点がある。それぞれが環境問題に強い関心を持ち、実際に行動してきた経験を持つことだ。 ◆リベラ大臣の行動  リベラ大臣は、マドリードの大学で憲法と政治学の学位を取得したのち、大学教員として、そして、政治家として、気候変動問題を含む環境問題に取り組んできた。2018年にスペインの環境保護大臣に就任してからも、太陽光発電に課されていた“太陽税”を廃止したり、石炭汚染を削減するため、炭鉱の条件付き閉鎖を炭坑夫組合に合意させたりなど、具体的な対策を実施している。  これらの働きにより、リベラ大臣は国際非政府組織“The Climate Reality Project”から2018年の『公人賞』を贈られている。同組織は、ノーベル平和賞受賞者アル・ゴア氏(元米国副大統領)の主導で設立された非営利団体だ。 ◆ディカプリオの行動  ディカプリオは俳優としての顔の他に、もう一つの顔を持っている。熱心な環境保護活動家としての顔だ。彼はアル・ゴア氏との対話から環境問題への関心を深め、1998年に“レオナルド・ディカプリオ財団”を設立した。同財団はすでに1億ドル以上を集めており、気候変動や種の保存、再生可能エネルギーなどの環境プロジェクトに資金を提供している。 ◆シュワルツェネッガーの行動  シュワルツェネッガーはカリフォルニア州知事時代、2002年に提案された州独自の温室効果ガス規制法案の具現化に向けて奔走。導入を承認するよう求める州政府からの声を繰り返し無視した連邦政府機関「環境保護庁EPA」を2007年11月に提訴した。オバマ政権下の2009年6月になり、EPAはようやく同法案の導入を承認。それを受け、2010年、州政府は温室効果ガスの排出権取引制度を2012年から施行することを決定した。  シュワルツェネッガーは2011年1月3日に任期を終え、州知事を退任したが、その後も環境問題に取り組み続けている。2017年には母国オーストリアで『Austrian World Summit』を立ち上げ、年1回、気候変動対策を議論する国際会議を開いている。   2019年の会議にはグレタさんも招かれ、そこでスピーチを披露している。(参照:「AFPBB」 , 「Austrian World Summit」。  シュワルツェネッガーはまた、米国経済を最優先し、環境対策を疎かにするドナルド・トランプ大統領を繰り返し批判している。2017年6月にトランプは“パリ協定”(温暖化防止のための国際条約)からの離脱を表明したが、シュワルツェネッガーはそれを苛烈に批判した。2019年9月、トランプは意趣返しとばかりに、カリフォルニア州独自の温室効果ガス規制について、その承認を撤回するとツイートした。そう、シュワルツェネッガーが提訴までして取り付けた、あの承認だ。  今年の9月、グレタさんはトランプ大統領とすれ違う時、睨みつけるような険しい表情を見せた。その表情の裏には、上のような背景があったのだ。

グレタさん、マドリードに到着

 そのグレタさん、無事に支援者が見つかり、海路と陸路を伝ってCOP25の開催地マドリードに到着した。会場ではホスト国の環境保護大臣、テレサ・リベラさんが待ち構えているはずだ。
 さあ、COP25でのグレタさんの言動に、そして、気候変動問題に対する各国首脳の行動に注目しよう。 <文/井田 真人>
いだまさと● Twitter ID:@miakiza20100906。2017年4月に日本原子力研究開発機構J-PARCセンター(研究副主幹)を自主退職し、フリーに。J-PARCセンター在職中は、陽子加速器を利用した大強度中性子源の研究開発に携わる。専門はシミュレーション物理学、流体力学、超音波医工学、中性子源施設開発、原子力工学。
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