中国人もびっくり! 日本人はなぜかくも「三国志」が好きなのか? 東京で大盛況だった展覧会、九州でも人気

曹操の墓発掘での新発見、歴史がまた変わっていく!?

展示室内6

実寸大で再現された、曹操高陵の墓室(写真は九州展のもの)

 今回の三国志展の目玉は、魏王・曹操(そうそう)が埋葬されていた「曹操高陵」(そうそうこうりょう)の出土品だ。2008~2009年に発掘されたもので、中国でもまだ一般公開されていないものも多く、非常に貴重なものだという。  曹操は『三国志演義』などでは後漢最後の皇帝・献帝(けんてい)を利用して権勢をふるった悪人のイメージだが、その出土品からはまた違った人物像が見えてくる。 「今回明らかになったのは『曹操の墓はやはり非常に質素だった』ということ。曹操は『遺体を飾ってはならぬ。金玉珍宝のごとき宝飾品も墓に入れてはならぬ』との遺言を残していたんです」(市元さん)  その遺言が本当に実行されたのかを確かめるため、研究者たちは出土品に注目していた。 「王であれば着せられるであろう玉衣や、金細工などの副葬品も出てきませんでした。遺言は守られていたのです。出土した鼎(てい)なども、素材は土で高級なものではありませんが、厚さが均質でひずみもなく丁寧に作られていました。曹操は当時としては随一の権力者で第一級の文化人であるにもかかわらず、華美なものを求めない、自律心のある人物だったのかもしれません」(同)  もう一つの新発見は、白磁の容器が見つかったということだ。白磁とは、白色の粘土に灰を主な成分とする釉薬をかけて高火度で焼き上げた磁器のこと。 「2016年に発掘報告書が刊行されて、そこに白磁であると記されていました。それまで白磁は6世紀後半、隋の時代に誕生したと考えられていました。それが曹操の時代に出てきたということになると、一気に300年以上さかのぼることになる。焼き物の歴史や、三国志の時代を理解するにも重要な史料です。中国ではこのほかにも、ここ10年ほどの間に三国志関連の考古研究が進み、新発見が続出しているんです」(同)

九州展限定の三国志関連展示、世界最古の『三国志』写本など

三国志写本

『三国志』呉志第十二残巻 (部分)。世界に現存する三国志で最古の写本。5世紀の中国・南北朝時代に書き写されたと考えられる。九州では初公開となる

 九州展での展示品は、東京展のものと同じ。しかし「展示の仕方、演出方法は当館オリジナルのもので、東京展に行かれた方も楽しめるかもしれません」(佐原さん)という。  さらにこの九州展会場の4階では、三国志関連展示「『長崎の関帝信仰』と最古の三国志」も開催中だ(12月22日-日曜日まで)。「曹操の墓から出土した鉄の鏡(未出陳)とよく似ている」と報道された、大分県日田市ダンワラ古墳出土の重要文化財「金銀錯嵌珠龍文鉄鏡」も緊急公開中(2020年1月19日-日曜日まで)。特別展「三国志」の半券で入場できる。 「これは九州展限定のもので、世界最古(5世紀)の『三国志』写本や、近世長崎での関帝信仰の象徴ともいえる興福寺(長崎市)の関帝倚像なども展示しています」  ここ10年の新発見が満載の三国志展。東京展に続き、九州展でも展示物は映像作品を除き、すべて撮影OKだという。これは三国志好きでなくとも行きたくなる!
関帝倚像

興福寺(長崎市)の関帝倚像。「関帝」とは、三国志の武将・関羽が没後に神格化された存在。江戸時代の長崎では中国から伝わった関帝祭祀が盛んに行われた

<取材・文/北村土龍(好きな武将:魯粛) 写真/鈴木麦(好きな武将:徐庶) 九州国立博物館>
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