8割近い人は「難病と仕事を両立している人がいる」ことを知らない
ダイバーシティ&インクルージョン(D&I)に取り組む企業が増えてきた。一般にD&Iは、外国人材や女性の活用、LGBTへの配慮を指すと思われることが多い。しかし病気を抱える人が治療と仕事を両立できるような取り組みも重要だ。
ヤンセンファーマは12月6日、難病を抱えながら働く人々の実態に関する調査の結果を発表した。調査は、一般企業や官公庁などで働く20~69歳の男女1000人を対象に実施した。
難病を抱えながら仕事をしている人が多くいることについて「よく知っていた」「なんとなく知っていた」人の割合は、23.6%に留まった。人事・総務関係者でも、38%に過ぎなかった。
難病の患者について、どのようなイメージを持っているか聞いたところ、「職業によっては就職が難しい」が31.8%で最多だった。一方、人事・総務関係者のなかでは、「職場の理解・配慮があれば、治療と仕事の両立が可能」(34.8%)が最も多かった。
病名や症状を知っていると一緒に働くことへのためらいがなくなる
国の指定難病で患者数が最も多い炎症性腸疾患(IBD)には、クローン病や潰瘍性大腸疾患などが含まれる。ヤンセンファーマによると、日本には約29万人の患者がおり、10~20代の若年層で発症しやすいという。
これらの病気の認知度を調べたところ、潰瘍性大腸炎については「病名も症状も知らない」人が47.9%と半数近かった。クローン病についても41.4%が「病名も症状も知らない」という。
難病の人と一緒に働くことについて「心配・ためらいはない」と答えた人が37.1%で、「心配・ためらいがある」の24.4%を上回った。少なくない人が難病を抱えた人と一緒に働くことに抵抗がないことがわかった。
また、潰瘍性大腸炎の人と働くことについて心配やためらいがないと答えた人の割合は、病名・症状を知っている人で63.5%、病名だけ知っている人で47.1%、いずれも知らない人で21.9%だった。病気についてよく知っている方が、一緒に働くことにためらいがなくなることがわかる。
クローン病でも同じように、「ためらいがない」と答えたのは、病名・症状を知っている人で63.3%、病名だけ知っている人で45.4%、どちらも知らない人で21.5%だった。