音楽の「サブスク」、アーティストの本音やいかに? AYA a.k.a. PANDAと語る現状<ダメリーマン成り上がり道#24>

戦極MCBATTLEもサブスク参入?

――最近はサブスクリプションでも歌詞が自動表示される曲もありますよね。 AYA:「ありますね。iTunesから『歌詞をください』と言われたときは渡しましたけど、向こうから依頼がなければ渡さないので、表示されない曲もあります。そこは特にこだわってなくて、相手側におまかせですね」 正社員:「でも今はCDよりも配信のほうが全然利益はデカイでしょ」 AYA:「そうですね。もうCDは大量には売れないと思います」 正社員:「周囲に話を聞いてもそういう感じなんだよなぁ。戦極のDVDは『なんでまだ売れてるんだ?』って不思議なんですけど、ギリギリ売れてる状況で。そろそろ配信に本格的に切り替えたほうがいいかな、とも思っています」 AYA:「でもCDやDVDも枚数限定なら売れると思うし、それでプレミアムがついたりもしますね」 正社員:「それもまたブランディングになると思うんですよ」 ――アヤパンさんはあえて枚数は絞って出す戦略なんですか? AYA:「いや、発送が大変だとか、裏方の事情ですね。CDも流通に乗せるわけじゃなく、自分たちで作って送ってるんです。そうやって売り切れば、売上は丸々利益になるので、お店に置くより全然いいし。最近は自分でECサイトを作って自分で売っちゃうアーティストが増えていますね

MCバトルの配信には障壁が

――戦極のDVDはAmazonなどの通販サイトでも販売していますね。 正社員:「そうですね。戦極のオンラインショップ限定で売っている商品もあるんですけど、そうすると売上が伸びないんですよ」 AYA:「そうなんだ」 正社員:「だから戦極のDVDは今もAmazonに置いてますね。アヤパンみたいな一定のファンがしっかりついているアーティストは、自分で売ったほうがいいんでしょうけど、戦極はMCバトルの大会なので。そこは違うのかなと思います」 ――戦極はその点で言うと、サブスクリプションへの参入も難しいですね。 正社員:「そうなんですよね。何かいい方法はないかな……と考えているんですけど、『大会がそこまでやっちゃうの?』ってのもあるし、難しいんだよね」 AYA:「うん。そこまで広げますかって感じになるかもしれない」 正社員:「出演しているアーティストも嫌がる人はいそうだし。まぁ、YouTubeとかで全配信してるのと変わんないんだけど」 AYA:「確かに。でも、稼いだぶんだけ還元していけばいいんですよ。再生回数とかは誰でも見られる状態になるので、それで一再生いくらで配分すればいいんじゃないですか?」 正社員:「いやー、さすがにYouTube、Spotifyとか、iTunesでその裏側を全部公開するのは難しいかな。誰がいくらとか絶対計算できない」 AYA:「へえー」 正社員:「配分とかまで話をされるとさすがに厳しいよね……。バトルが強いアーティストは、こういう大会があるからこそ、いきなり豊洲PITとかZeppに立てるのもあると思うし。アヤパンじゃ自分の曲だけでここまで有名になったわけだけど、MCバトルに出てる人は大会がなかったら売名のチャンスは少ないと思う。逆にこっちは、バトルがうまいラッパーがいないと大会はできないわけだし」 AYA:「お互い持ちつ持たれつ、ってわけですね」 【AYA a.k.a. PANDA】 ‘17年11月1日に配信リリースした「甘えちゃってSorry」のMVが数百万再生回数を超える大ヒットを記録したフィメールMC。最新楽曲は7月リリースの「死んでよBABY」
戦極MCBATTLE主催。自らもラッパーとしてバトルに参戦していたが、運営を中心に活動するようになり、現在のフリースタイルブームの土台を築く
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