間違いだらけのロールプレイング。瞬発力を上げるにはあえて準備をするな

 筆者はビジネススキルを向上させる演習プログラムを実施している。プレゼン話法、合意形成話法、OJT面談話法、リアクション誘導話法などのスキルを、その場で演習して高めていくというものだ。

スキル修得に準備は不要⁈

チェスのイメージ

photo via Pexels

 演習プログラムのなかでは、相手と2人一組になってロールプレイングをし、自分が話法を繰り出して相手に反応してもらう。自分が話法を繰り出している様子を自撮りして、ロープレが終わる、録画を再生して自分で確認し、話法に内容や繰り出し方、そのときの表情などを修正していく。  自撮りロープレをする際に、私はあえて、これから話す内容を事前に考えてもらったり、準備したり、下書きすることをしない。ぶっつけ本番で、いきなり自撮りロープレをやってもらうのだ。  このように申し上げると驚く人が多い。「準備するのが当たり前ではないか」「何を話すか考えておかなければ話せないではないか」という声が聞こえてくる。しかし、20年来の演習結果をふまえると、準備したり下書きしたりしないほうが、スキルの上達が早いのだ。

分解スキル反復演習で瞬発力を高める

 準備したり下書きしたりしない代わりに、演習するスキルはパーツ分解して反復演習する。プレゼン話法は、導入のフレーズ、全体像を示すフレーズ、メッセージを伝えるフレーズ、構成をつなぐフレーズというように、パーツのフレーズに分解して反復演習するというわけだ。  1回のロープレ時間は、1分から3分程度だ。限られた時間で、そのフレーズだけが繰り出せるように反復していくと、15分程度の間に何回かロープレしていくうち、あまり考えずに繰り出せるようになる。瞬発力が高まるのだ。  それぞれのフレーズが繰り出せるようになったら、導入のフレーズと全体像を示すフレーズをつなげてロープレしていく。パーツスキルを反復演習すると、より身につきやすいし、パーツスキル同士を連動させたり、組み合わせやすくなる。  準備したり下書きしてからロープレしていくと、その内容について説明することはできるようになるかもしれないが、瞬発力は高まらない。  特に相手の話した内容に対して、リアクションして、相手の考え方を自分の考え方に誘導している「リアクション誘導話法」を繰り出す際には、瞬発力を発揮しないと誘導できなくなる。そもそも対話が途切れてしまって、スキル発揮さえできなくなる。
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