この仮定のフレーズに、相手の「
モチベーションファクター」(意欲を高める要素)を組み込むと、さらに相手の発言を引き出しやすくなる。私はモチベーションファクターを、2つの志向、6つのファクターに分けて捉えている。
2つの志向、6つのファクターに分類しているのは、このように分類すると、日本のビジネスパーソン一人ひとりがもっている最も強いモチベーションファクターが、だいたい均等に分布されるからだ。牽引志向は51.4%、調和志向は48.6%だ。
お客さまが「
目標達成」の購買モチベーションファクターの持ち主だと思えたら、仮定に「新しい商品だったら、購入されますか」、「
自律裁量」の持ち主だと思えたら、「限定モデルだったら、購入されますか」と、
モチベーションファクターに関連したフレーズを組み込むのだ。自分の意欲が高まる要素なので、格段に返答を促しやすくなるし、購買意欲を刺激することができる方法だ。
紹介したのは、商談でお客さまの発言を促す場面で、仮定の質問を活用する方法だ。この仮定の質問、例えば相手から断りや反論を受けたときのリアクション誘導話法としても、効果を発揮する。いろいろな場面で活用してみてはどうだろうか。
仮定で相手の考え方に寄り添う
質問:「同意+仮定」はどのように行えばよいか
相手の考え方に対して、「同意+仮定」によって誘導する話法は、具体的にはどのように行えばよいのでしょうか?
回答:相手の考え方に関連付けて、自分の考え方を仮定の話として繰り出す
相手の考え方に対して、
同意したうえで、ある仮定を置いて、自分の考え方を示す方法です。直接的に自分の考え方を主張することと異なり、仮定を置いているぶん、相手の考え方に沿いながら誘導することができます。
相手が許容しやすい仮定であればあるほど、誘導の幅は小さくなり、抵抗感を持たせるリスクは小さくなります。相手よりも自分にとって満たしやすい仮定であればあるほど、誘導の幅は大きくなり、抵抗感を持たせるリスクは大きくなります。
【山口博[連載コラム・分解スキル・反復演習が人生を変える]第164回】