7年政権維持をしても拭えぬ、国民の「将来不安」。年金への不信はどう払拭すべきなのか?

微調整だけでお茶を濁してきた政府与党の年金改革

 政府与党が年金改革を全くしてこなかったとは言わない。しかし、それは微調整ばかりである。現行の年金制度を根幹には触れていない。その改革とは、支給開始年齢を遅くする。毎月の保険料負担を増やす。そして、マクロ経済スライド方式を導入することで国会の審議を経なくても、毎月支払う給付水準を自動的に調整できる、つまり年金金額を減らすことができるようにしたということだ。  現行制度は維持しながら微調整してその辻褄を合わせる。これが、政治の行ってきた年金改革の実態だ。  給付開始年齢が遅くなれば生活に困るシニア層は増える。毎月の給付金額が減れば生活がますます苦しくなる。それが分かるから人々は不安に思うのだ。  政府は70歳まで現役で働きましょうという。昭和の後半までは55歳で定年でリタイアするのが当たり前だったから15年も長く働けというわけだ。働くのは、生きがいとか、社会参加だとか、いろんな理由を考え出し強調するが、その掛け声の内実は、出来るだけ年金や公的扶助に頼らない生活を自分で何とかして下さいというのが本音ではないか。  こうした、政府・与党が行ってきた年金改革を国民は期待してきたのか? 私は違うと思う。今のような微調整型改革ではなく、本格的な年金制度の改革を望んでいたはずだ。  年金制度を大きく変更すると、得する人と損する人が出てくるから社会的な衝撃は大きい。しかし、超高齢化社会に突入し、一刻の猶予もなく断行しなければならないはずだ。そして、それこそ安定政権に求められる政治のはずだ。

現行の年金制度が抱える問題点

 年金制度にはどんな問題があるのだろう。ひとことで言えば、今の公的な年金制度は「サザエさんの時代」の年金制度なのである。50年以上続くサザエさんを見ていると、大家族で、夫がサラリーマンとしてフルタイムで働き、妻は家庭で専業主婦をする。このアニメ、いつまでも登場人物の年齢が変わらないだけでなく、その環境も昭和の中頃の姿と変わらない。サザエさんは普通のごく平凡なサラリーマン世帯のはずだが、都内に土地付き一戸建てに住んでいる。その住む街は都区内であるが一軒家だらけだ。サザエさんの生まれた頃の東京の姿なのだ。今や普通のサラリーマン世帯で庭のある一軒家は持てないし、街中はアパートとマンションだらけで、サザエさんの住む街のように一軒家ばかりで、草野球を楽しめる空き地のある23区(特に想定されている世田谷区)はほぼ皆無と言っていい。  そんな50年以上前の家族構成、働きかたの下で形作られたのが現行の年金制度なのである。妻は専業主婦だから、将来もらう年金は夫の年金制度の中に収めなければならないと行った具合だ。今はどうだろう。半数の女性が働いて収入があるのが実態だ。  現行制度下では、次のような弊害が起きていると思う。特に問題と思うのは次の3点だ。 ・どんな所得でも同一な国民年金保険料によって、むしろ負担の逆転現象が起きてしまっていること  ・多様な生き方への対応ができていない。  ・世代間扶助の非現実的な助け合いばかりに頼りすぎで、豊かな老人からそうでない老人への富の配分がなされない。  今回はこのうち最初のものについて説明しておきたい。
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金持ちほど国民年金の保険料が減るという不思議
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