さらに彼らの給与を不安定にさせるものに、昨今の「連休ブーム」がある。
ハッピーマンデー制度(祝日を月曜日にずらす制度)による3連休、「過去最長」と話題となった今年の10連休のゴールデンウィーク、「山の日」なる謎の新祝日を設置してまで長期休暇化させる盆休みに、秋には「シルバーウィーク」なるものまで登場。
このように、昨今の日本人の「休日」や「連休」に対する情熱を並べると枚挙にいとまがない。
「働きすぎ」のイメージがあるが、実は日本の祝祭日の多さは世界的に見ても大変多く、海外には、有給を取ってバカンスに行く人はいても、日本のように、祝祭日で国全体が4日以上連休になること、または連休にしようとするところは、ほとんどない。(参照:
「祝祭日数世界1位!日本人は休みすぎ!?」|PRESIDENT ON LINE)
こうした休日や連休に対して、地場でコンビニ配送などに従事するルート配送車は、普段以上の需要に対応すべく、
休み返上で仕事をすることになる。
が、その一方、物流センターなどへの輸送を担う中・長距離ドライバーの多くは連休中、
必然的に休まざるを得なくなる現実がある。
休みの間、センター自体が閉まるからだ。
「休まざるを得なくなる」としたのには、トラックドライバーの給与形態にある。
長距離ドライバーの給与形態は、
①「月固定給+歩合給+諸手当」
②「日給+歩合給+諸手当」
のいずれかであることが多く、2つのうちでも
②の「日給月給制(+歩合制)」で働く人が多い。
歩合は、「走れば走るだけ稼げる」と聞こえはいいが、それは逆に言えば、
「走らなければ稼げない」と同義。仕事がない日は、給与は原則支払われない。しかし先述通り、連休は荷主が休業するため、彼らは「走りたくても走れない」状態となるのだ。
つまり、休日や連休を増やそうとする昨今の「“休み方”改革」は、皮肉にも彼ら日給+歩合で走るトラックドライバーの収入を不安定にさせる大きな要因になっていることになる。
通り一遍な「働き方改革」は逆にドライバーを窮地に追い込む
ゆえに、彼らにとって「連休」は、体を休ませながらも、気持ちの面では心から休みを満喫できない日々。無論、会社規模や契約内容によって全てのドライバーがこれらに当てはまるわけではないが、中には、「大型連休なんていらない」「連休中はアルバイトをしていた」と嘆くドライバーも少なくないのだ。
ちなみに、長距離ドライバーの他にも、ダンプカーやミキサー車、建設機械運搬車も②の給与形態である割合が高い。彼らは「現場」への搬入出がメインで、会社によっては、現場が天候不良で作業中止になると、その日の稼ぎは得られないこともある。
拘束時間は長いのに、トラックドライバーが見合った収入を得られない、連休を心から喜べないのには、こうした運送業界の給与形態にも原因がある。彼らが本当の「働き方改革」を目指すためには、もっと抜本的なところから見直さねばと思えてならない。
<取材・文/橋本愛喜>
フリーライター。元工場経営者、日本語教師。大型自動車一種免許取得後、トラックで200社以上のモノづくりの現場を訪問。ブルーカラーの労働環境問題、ジェンダー、災害対策、文化差異などを中心に執筆。各メディア出演や全国での講演活動も行う。著書に『
トラックドライバーにも言わせて』(新潮新書) Twitterは
@AikiHashimoto