「お仲間」は公金で花見饗応の一方、国民は円安と消費税で貧しくなっただけ<明石順平氏>

アベノミクスは失敗

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国家を私物化した安倍政権。7年間のアベノミクスの真実

 11月20日で桂太郎(第11・13・15代内閣総理大臣)を抜き、憲政史上最長の在職日数となった安倍晋三総理。この間、安倍総理は官僚人事を壟断し、自身の手駒として動く忠実な下僕を主要ポストに据え、自身の「身内」に利権を分け与え、嘘を嘘で糊塗し、法や民主主義を踏みにじり、公文書を捏造させ、国家を私物化してきた。  安倍総理は「政治は結果」というが、その結果は、粉飾だらけのアベノミクス、失敗だらけでカネをばらまく外交とろくな成果も見られない。 『月刊日本 12月号』では、総特集として、長期政権の驕りと緩みが噴出しまくっている安倍政権を批判する「国家を私物化する安倍晋三 国民を裏切り続けた七年間」を掲載している。  今回はその特集から、弁護士でありながら「アベノミクス」の虚飾を指摘し続けている明石順平氏の論考を転載し、ここに紹介したい。
月刊日本2019年12月号表紙

月刊日本2019年12月号

円の価値を落としただけ

―― 安倍政権はアベノミクスと称する経済政策を7年にわたって行ってきました。アベノミクスをどう評価していますか。 明石順平氏(以下、明石): 端的に言えば円の価値を落としただけです。それに尽きます。国債を爆買いして円の供給を増やした結果、市場は円売りに動き、円安が進行しました。製造業は円安によって得したかもしれませんが、物価が上昇し、それに賃金の上昇が追いついていないため、消費は冷え込みました。そこに消費増税が重なったため、国民の生活は非常に苦しくなってしまったのです。  これは賃金と物価の推移を見れば明らかです(図1 なお、厚生労働省によって統計不正が行われていたことが発覚したため、このグラフは賃金について実態を反映していない部分がありますが、かといって代替するものが無いため、やむを得ずそのまま使います)。
図1

月刊日本12月号より

 アベノミクスから5年で名目賃金は1・5%しか伸びていません。その一方で物価は6%も上がっています。日銀の試算によると、消費増税による物価上昇は2%なので、残る4%はアベノミクスがもたらした円安の影響です。安倍政権は増税+アベノミクスによって物価を無理やり上げましたが、賃金が1・5%しか伸びなかったため、実質賃金は4・2%も下がってしまったのです。  これはアベノミクス前の水準に遠く及びません。もし民主党政権が続いていれば、少なくとも国民が物価高で苦しむことはなかったでしょう。 ―― 安倍総理は実質賃金より総雇用者所得の増加を重視すべきだと主張しています。 明石:確かに総雇用者所得は増えていますが、それは雇用者が増えたのだから当然です。問題は雇用者の内訳です(図2)。アベノミクス擁護者たちは絶対に触れませんが、職種別の雇用者数を見ると、医療・福祉が6年間で125万人も増えています。その理由は高齢者が増加していることであり、アベノミクスとは無関係です。
図2

月刊日本12月号より

 雇用が増えている理由をもう一つあげると、多くの企業がフランチャイズで多店舗展開していることが関係していると思います。フランチャイズとは、フランチャイズに加盟する人や法人が、フランチャイズ本部から店の名前やサービス、商品を使う権利をもらい、その対価をフランチャイズ本部に支払う仕組みです。権利を与える側はフランチャイザー、権利を付与される側はフランチャイジーと呼ばれます。コンビニがその典型です。  フランチャイズの総店舗数および業種ごとの店舗数の推移を見ると、アベノミクス前からフランチャイズ店は増え続けており、特にコンビニの伸びは小売業全体の伸びを上回っています(図3)。そして、日本はフランチャイズに関して何の法律もないので、フランチャイザーがフランチャイジーを搾取し放題になっています。だから店舗数を増やすことができ、それに伴って雇用者も増えるのです。
図3

月刊日本12月号より

 このことは12月に出版予定の『人間使い捨て国家』(KADOKAWA)に詳しく書きましたが、たとえばコンビニのオーナーは実態は労働者なのに個人事業主として扱われているため、残業代も支払われず、人件費が極端に圧縮されています。こうした脱法行為が平気でまかり通っているのです。
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統計不正と都合のいい数値を取った「カサアゲノミクス」
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月刊日本2019年12月号

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