写真家の宮本直孝さんがユニークフェイスの当事者カップルを撮影
社会的課題に向き合う当事者たちを撮影しては、地下鉄のADウォールを使って写真を掲示してきたフォトグラファーがいる。2012年に「ロンドンパラリンピック選手写真展」、2016年に「Portraits of Refugees in Japan-難民はここにいます。」を開催した
宮本直孝さんだ。
宮本さんは2017年、ダウン症への理解を広めるために活動する
NPO法人アクセプションズと共同で、ダウン症のある子供と母親を撮影した写真も、ゴールデンウィーク明けからの1週間、1日平均18万人が往来する表参道駅で掲示した。
こうした一連の写真展にかかる全経費は、宮本さん自身が個人で負担してきた。そんな宮本さんの新たな挑戦は、生まれてからずっと自分の顔面問題に悩んできた「
ユニークフェイス」の当事者のカップルを撮影するプロジェクトだった。
ユニークフェイスとは、ジャーナリストの
石井政之さんの造語。
単純性血管腫、口唇口蓋裂、顔面麻痺、脱毛症、アルビノ(色素疾患)など、「顔面問題」に悩む人は少なからずいる。その当事者が、恋愛や結婚など誰かと深く付き合うには大変な困難が伴う。
しかし、現実には、少ないながらカップルや夫婦になれた当事者もいて、他の多くの当事者たちに小さな光のような希望を与えている。そこで宮本さんは、「ユニークフェイスの当事者」と「当事者と深く付き合う人」の2人で被写体になりたいカップルを2018年11月頃から公募し始めた。
「
『いい夫婦の日』写真展」と題された企画書には、こうある。
「私、宮本直孝は、写真を通して、結婚とは、夫婦とは、恋愛とは、容姿とは、内面とは、差別とは、そんなことを見た人に考えてもらう写真展を行いたいと考えています。
写真はお二人いっしょにですが、笑顔で誤魔化さず、当事者の方は優しさを、配偶者や恋人の方は自信を、そしておふたりの結びつきを、そういうものが撮れたらいいなと思っています。
実際は、撮影したらきっと言葉にはできない、想像もできなかったものがたくさん現れて、それこそが写真を見た人の心を揺さぶるものになるに違いないと考えています。写真の大きさは、1枚あたり 1.8m x 1.8m。撮影は、千代田区東神田の私のスタジオを予定していて、かかるお時間は2〜3時間程度です。この写真展の被写体になってくださる方を探しています」