外国人からも呆れの声。外務省が世界に発信する“怪文書”の、火に油を注ぐだけの中身

海外メディアへの投書も

 そんなお粗末な情報が「アップデート」(むしろ退行している気がするが)されたのと時を同じくして、外務省からは他にも世界に向けたメッセージが発信されている。  11月12日、イギリスの大手新聞「ザ・ガーディアン」に「日本の旭日旗は軍国主義のシンボルではない」という投書がされたのだ。(参照:The Guardian)  その内容はさらに驚愕のもので、5つのパラグラフの概要をまとめると下記のようなものだ。 1.「ザ・ガーディアン」に載った旭日旗の記事は真摯に過去と向き合ってきた日本を勘違いしたものだ。 2.安倍首相をはじめ、日本はこれまでも繰り返し謝罪と遺憾の意を表明してきた。 3.旭日旗を軍国主義に誇りを持つことと結びつけるのは間違い。出産や節句などで広く使われている。 4.自衛隊も使っている。釜山港に海上自衛隊が入港したときも韓国から反発はなかった。 5.旭日旗に反発するのは政治的意図があるから。ずっと使われてきたが、最近になって韓国が反発を生んでいる。五輪はそういった政治的扇動に使われるべきではない。

火に油を注ぐ行為

 外務省のホームページになっているのとほぼ同じ、具体的な説明がないまま、軍国主義とは関係ないの一点張り。そして、「悪いのは韓国」というネトウヨも真っ青の低レベルな主張だ。  百歩譲って、一般人によるSNSなどでのコメントならまだしも、外務省の広報が世界でもトップクラスのメディアに投書したにしては内容が稚拙すぎる。旭日旗のイメージを変えるどころか、悪化させる効果しかないだろう。  実際、在日外国人に外務省の旭日旗を巡った対応について話を向けてみると、次のような反応が出てきた。 「バカだなぁ……。この間、五輪での使用について聞かれたときも思ったけど、なんでわざわざ火に油をそそぐようなことをするのか謎だよね。説明も意味不明だし、旭日旗が広く使われてることのロジックが破綻してる。だいたい、日本に来てから旭日旗なんてほとんど見たことないし」(アメリカ人・男性・38歳) 「広く使われてるなんて嘘でしょ。街中では一度も見たことない。それこそナショナリストがデモで使ってるのを映像で見たぐらい。これを政府が主張するのは間違ってる」(ノルウェー人・女性・33歳)  外務省HPの説明にしろ、「ザ・ガーディアン」への投書にしろ、こういった反応をする外国人がほとんどだろう。中身のない説明や不明瞭で一方的な物言いが通じると思っているのだとすれば、これ以上余計なことはしないほうがいい。 <取材・文/林 泰人>
ライター・編集者。日本人の父、ポーランド人の母を持つ。日本語、英語、ポーランド語のトライリンガルで西武ライオンズファン
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